シリア戦でドリブル突破を狙う乾(撮影・六川則夫)
シリア戦でドリブル突破を狙う乾(撮影・六川則夫)
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 シリア代表を迎えてのキリンチャレンジカップ2017が6月7日に東京スタジアムで行われ、日本代表はシリアに先制点を奪われたが、後半13分、今野泰幸の同点ゴールで追いついた。その後は選手交代などで猛攻を仕掛けたものの、最後までシリアゴールをこじ開けることができず、1-1のドローに終わった。

 来週6月13日にイランで行われるW杯アジア最終予選のイラク戦。この試合に向けてシリア戦には2つのテーマがあった。まずイランのピッチはデコボコで、日本が得意とするパスサッカーはできない。そこでハリルホジッチ監督は「ロングボールによる空中戦とセカンドボールをいかに拾うか」をテーマに掲げていた。ただし、シリア戦の行われる東京スタジアムはピッチ状態がいいため、ロングボールを使う必要はない。

 このためシリア戦は、これまで構築した攻撃スタイルの確認と、球際の攻防などでデュエルを発揮すること。そしてUAE戦で右足小指を骨折した今野や、ミランで出番のかなった本田圭佑のコンディション、出場経験の浅いCB昌子源や乾貴士といった新たに招集した選手のテストだった。

 そして守備では、荒れたピッチにイラクは「ドリブル突破を仕掛けて来る」と予想し、「ボールを奪える選手が重要になる。相手の長所を消しに行く」ことをシリア戦の課題としていた。

 試合は前半を見る限り、攻守とも“及第点”とはいえなかった。中盤は山口蛍をアンカーに、右インサイドハーフに今野、左インサイドハーフに香川真司を置く配置は、今年3月のUAE戦と同じ(今野と香川のポジションは入れ替わった)だが、誤算は開始10分に香川が左肩を痛めて倉田秋との交代を余儀なくされたことだ。

 山口は守備的なボランチで、今野と倉田も攻守にハードワークをして、前線にも顔の出せる“汗かき役”のタイプ。このため攻撃をコントロールしたり、タメを作って攻撃に変化を加えたりすることはできない。日本の攻撃は大迫勇也と原口元気の個人プレー頼りで、開始早々に接触プレーで足を痛めた久保裕也も精彩を欠いた。

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