「これは大失敗だ。なんでこんなくだらないミスをしてしまったんだろう……。情けないな。自分はいつも大事な時に失敗してしまうんだ。でもだからと言って、皆の前であんなに否定的なことを言うことはないじゃないか。たった1回の失敗なのに、皆に仕事ができない奴だと思われてしまう。普通は別室で叱るもんだろう? 無神経な上司だ」

 その後、Aさんは特に上司を嫌うことはなく、仕事にも前向きに取り組んでいます。Bさんは上司に嫌悪感を抱くようになり、仕事に身が入りません。

 当然のことながら、上司はAさんを評価するようになります。Bさんは「上司はAさんをひいきしている」と感じてますます上司が嫌になり、やりとりをするたびに強いストレスを感じるようになりました。

■自分の「物事の受け取り方」を考えてみよう

 AさんとBさんとでは、認知の仕方が異なるのがよくわかると思います。出来事が起こってから感情が生じるまでに、まずはこの認知があります。同じ出来事でも認知の仕方によって異なる感情が生まれるというわけです。

 Aさんは、最終的に上司の叱責を肯定的に捉えています。他方、Bさんは自己否定感が生まれ、上司に対する嫌悪感にまで発展しました。その結果、大きなストレスを抱えることになってしまっています。

 Bさんが感じるストレスの本質的な原因は、上司の無神経な言葉というよりは、Bさんの認知の仕方だということがわかるでしょう。

 もちろん、上司の叱責内容に問題がないとはいえませんが、上司の振る舞いを変えるより、自分の認知を認識する方が、はるかに簡単です。「自分がどういう認知をしているか」という事実に気付くだけで、ストレスは軽減されます。

 大きなストレスを感じる時は、大抵認知の仕方が極端な場合です。要は視野が狭くなり、柔軟性のないものの見方になってしまっているということです。ストレスを抱えている人は、このような認知が強化されている状態です。

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