■マイナス感情が膨れ上がるのを防ぐには
何か出来事が起こって感情が生まれた時は、まず自分がどういう認知をしているかを考えてみましょう。認知を客観視することで、マイナス感情に振り回されていない自分に戻ることができるのです。
自分の認知を認識しても、どうしても気持ちを切り替えられない時は、次の二つのことを試してみてください。
一つ目は「自分の感じていることを疑ってみる」です。「何もかも最悪だ」と感じるなら、本当にすべてのことが最悪なのかと考えてみる。「周りに無能だと思われている」と感じるなら、本当に全員がそう思っているのかを考えてみる。思っていない人を思いついたらノートにその人の名前と理由を書き出してみましょう。
感情的になっている時は、よくよく考えるとつじつまが合わないことなのに、そうに決まっていると思い込んでいることがあります。自問していくことで、自ら矛盾点に気づき、気持ちが落ち着いていくでしょう。
二つ目は、「同じ状況にいる人にアドバイスをするとしたら何と言うかを考える」です。
目の前の人が自分とまったく同じことを言っていると想像してみてください。「こんな失態をおかしたからにはもう出世は無理だ。頑張っても無意味だ」と言う人に、何とアドバイスするでしょうか。これも思いつくまま書き出してみてください。
「そんなわけないよ。たった1回の失敗だろう。頑張れば挽回(ばんかい)できるじゃないか」という言葉が浮かぶなら、それを自分に向ければいいのです。
他人が経験していることは客観的に見られるものです。当事者意識をなくして他人へのアドバイスを考えることで、自分にとって最も必要な言葉が出てくることがあります。
これらのことを習慣化していくと、元の自分に戻るまでの時間が短くなります。ストレスを感じる出来事が起こった後、1カ月間くらい落ち込んでいたのが、1週間になり、3日間になり、やがては1日経てばもうストレスを手放しているという状態になってくるのです。
最終的には、出来事が起こった瞬間に自分を客観視できるようになるでしょう。
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