一方、同じ頃、山梨の実家にいる母・真理子さんが、わが子が何とか前向きな気持ちになれるようにと、松岡修造氏の日めくりカレンダー『まいにち、修造!』をプレゼントしたという逸話もある。平野は、それを機に自ら手にした松岡氏の著書のなかにあった、「二重人格は素敵だ!」という言葉に目を奪われた。最近の平野が、「おっとりしていると言われるけど、それだけじゃ勝てないし、トップにはなれない」とか、3連覇中の女王・石川佳純(全農)を破って初優勝した全日本選手権で、「スポーツは結果が全て。好感度なんて気にしない」という強気な発言で周囲を驚かせているのも、素の自分とは別に、卓球ではもっと勝つことに貪欲でいいと開眼したからなのだろう。

 かつてないほど勝利への執念をみなぎらせる平野は、5月29日開幕の世界選手権で「シングルス、ダブルスともに金メダルを取る」と宣言している。平野対策に躍起だと聞く中国を再び倒すことができるか。大会本番まで残り1カ月。「超攻撃型」卓球にますます磨きをかける驚異の17歳に熱い視線が注がれる。(文・高樹ミナ)

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