2014年10月1日にはこちらもコンテンダーのカーティス・スティーブンス(アメリカ)からダウンを奪い、アウトボクシングをやりきっての判定勝利。この3戦からは、エンダムの実力と立ち位置が見えてくる。

 エリートファイターではなく、クイリン、レミューといった本場アメリカで人気になるレベルの選手には押し切られてしまう。それでもスキル、コンビネーション、スタミナなどは上質で、一段下のスティーブンスのようなランカーは寄せ付けない。力を測るには最適のリトマス紙的な存在であり、いわば“世界レベルの門番”のようなボクサーと言って良い。

 このベテランに勝てば、村田も世界中のボクシングファンの前で立派に胸を張れる。スーパー王者がいた上での“2番手王者”などと、その立場を引け目に感じる必要もない。エンダム戦での内容次第では、ゴロフキン、ジェイコブス、あるいはサウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)のような人気選手の対戦相手候補としてもクローズアップされてくるのだろう。

 31歳にして迎えるターニングポイントの一戦———。プロでの初のタイトル戦は、村田にとって今後のビッグファイトに向けた大事なオーディションとも言い換えられるのである。(文・杉浦大介)

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