介護を続けるには、やはりお金が必要です。しかし、先が見えないだけに頭を悩ませている人も多いでしょう。意外と知られていない医療や介護にかかる費用を軽減する公的な制度が実はあります。介護のプロ、白十字ホームの西岡修さんが著書『家族に介護が必要な人がいます 親の入院・介護のときに開く本』で教えてくれました。
■長引く介護が家計を圧迫する
しっかり準備してスタートしたはずの介護生活も、いざ始めてみると予想外の出費がかさむことがあります。また、介護が長引くと介護費は増えて家計のバランスが崩れてきます。この状態が続いてローンの返済などが滞ると最悪の場合、介護が原因で自己破産をする「介護破産」に陥ります。
介護破産を避けるには十分な蓄えが必要ですが、介護は突然始まるのでなかなか難しい話です。しかし、近年は介護にかかる費用を軽減するためのさまざまな制度が整えられています。ここではいくつかの公的支援を紹介します。
■介護休業をした時にもらえる給付金
介護休業中、企業によっては給料が著しく下がったり、支給されないことがあります。こんな時は「介護休業給付」を申請しましょう。支給申請は介護休業終了後に公共職業安定所(ハローワーク)で行います。対象は正社員の場合、雇用保険加入者で介護休業開始前の2年間に11日以上働いた月が12カ月以上ある、契約社員・パートの場合は休業を開始した時に1年以上雇用されている、休業開始予定日から93日を超えても継続して雇用される予定があることです。以上を満たしていれば休業日数分、給与の67%が支給されます。ただし、介護休業中は健康保険料や雇用保険料の支払いは免除されません。
■介護費用が高額になった場合
介護保険サービスの利用者負担額は、原則としてサービス利用費の1割または2割です。しかし、介護が長期化して要介護度が上がるとサービス利用料は増大します。「高額介護サービス費」は、この自己負担額が1カ月の限度を超えた時に、超過分を後から払い戻してくれる制度です。負担額の上限は、対象となる世帯の所得ごとに区分されています。