申請は初回のみ市区町村の担当窓口での手続きが必要です。支給要件を満たした場合は通知書と申請書が届くので、必要事項を記入して提出します。申請の際には利用した介護サービスの領収書が必要なので、保管しておいてください。

 介護費と医療費の双方が高額になった場合は、医療費と介護費の自己負担額を合算して払い戻してくれる「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用することもできます。「高額療養費制度」の支給が月単位なのに対し、この制度は毎年8月1日からの1年間に自己負担した金額が対象になります。健康保険の「高額療養費」と介護保険の「高額介護サービス費」で払い戻しを受けたうえで、合算制度の限度額を超える人は、超過分を払い戻してもらえます。医療と介護のどちらかの自己負担がないと該当しません。

■世帯を分離すると負担減、ただし……

 介護費用軽減の裏技的方法として「世帯分離」があります。健康保険の保険料や介護保険の自己負担額は世帯収入で決まるため、親子同居で子の年収が高いと自己負担額も増します。こんな時、世帯分離をして住民票上は親子を別世帯として登録し直すと、双方の世帯年収が減って負担額も下がります。ただし、要介護者が2人以上いる場合、同一世帯なら高額介護サービス費などを合算できますが、高額医療・高額介護合算療養費制度が受けられなくなることがあります。また、親子の双方が国民健康保険に加入している場合、保険料を世帯ごとに支払うためトータルで割高です。本来、住民登録は生活の実情に合わせてなされるべきものです。介護の負担軽減という理由だけでは、世帯分離を認めない地域もあるので、まず地域包括支援センターに相談してみましょう。

西岡修(にしおか・おさむ)
社会福祉法人白十字会白十字ホーム・ホーム長。1978年大正大学卒業後、白十字ホームに生活指導員(現生活相談員)として就職。1995年白十字ホーム副ホーム長。2001年から現職。東京都高齢者福祉施設協議会会長。大正大学非常勤講師。NPO法人YWCAヒューマンサービスサポートセンター理事。

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