1週間が始まる月曜日の朝。憂うつな気分で通勤電車に揺られている人も多いのではないでしょうか。
しかし、憂うつな気分で仕事に取り組むのと、前向きで元気な気分で取り組むのでは、結果も違ってくるとコーチングのプロは指摘します。『やっぱり、気分を上げればすべてうまくいく』(朝日新聞出版)の著者でもあるプロコーチの藤由達藏さんに、月曜朝の気分を1秒で切り替え・上げる方法について聞きました。
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月曜日の朝は1週間のスタート地点であり、とっても大切な時間です。「始め良ければ半ば良し」という諺がありますが、「スタートさえ良ければ、半分終わったも同然だ」という意味だそうです。その伝でいくと、月曜日の朝に憂うつな気分だと、先の1週間が思いやられます。
私はコーチングのプロであり、夢実現応援家として、ビジネスパーソン、起業家、作家等の支援をしていますが、最も重視しているのは「気分のコントロール」です。気分が上がっているか、落ちているかで、行動の質が変わり、成果にも大きく影響するからです。
この「気分」というものは、ビジネスの現場ではまだまだその重要性が理解されていません。そのため、「活を入れる」などの理由から部下をこっぴどくしかり飛ばしたり、不機嫌な様子で「報告・連絡・相談ができていないぞ!」と怒鳴り散らしたりする上司がたくさんいるのです。そうすることで、部下の気分を下げているにもかかわらずです。
また、気分の重要性に気づいていないことで、できない点にばかり注目してしまい、「自分はダメだ。全然なっていない……」と自分を責めて、わざわざ落ち込むことにもなります。
「だって、ダメなものはダメでしょ?」と感じるかも知れません。しかし、そうやって自分を責めれば責めるほど、気分は落ち込んでいきます。そして、気分が下がった状態では、現状をよりよくしたり、改善したりすることは、なかなかできないのです。
大事なことは何でしょうか? 「これから過ごす1週間をどうしたいか」ではありませんか? そのために、簡単に気分を切り替え・上げる方法をご紹介します。
■脳の「フィードバック・ループ」を利用する
私たちの脳は、体の細胞の隅々にまで神経を張り巡らせて、体の状況を常にモニターしています。笑顔になれば、脳は今楽しいのだろうと認識します。その逆に泣き顔になれば、脳は自己の状況が悲しいのだと判断します。
顔の表情は、感情によってつくられますが、その表情を認識することで、脳が自分の感情を再度自覚する「フィードバック・ループ(再帰的な循環)」という働きがあります。