■巨人
【補強ポイント】
・先発、リリーフ問わず即戦力投手
・将来の正捕手候補
二年連続で優勝を逃したこともあり、このオフはFAで三選手と13年に楽天の日本一に大きく貢献したマギー(35歳)を獲得するなど“お家芸”の大補強を敢行した。層は厚くなったが実績のある選手が増える分だけ平均年齢は当然高くなる。30歳未満のレギュラーは坂本勇人(29歳)と小林誠司(28歳)の二人だけ。将来の主砲としてドラフト1位で獲得した岡本和真(21歳)は昨年二軍で18本塁打(リーグ2位)、74打点(リーグ1位)と見事な成績を残しているがマギーが加わったことで出場機会が増える可能性は減った。ルーキーながら昨年二軍の盗塁王に輝いた重信慎之介(24歳)、ドラフト1位で入団した吉川尚輝(22歳)も簡単にポジションを奪える気配はない。若手選手の成長機会は減る一方である。
投手は野手よりも更に厳しい状況。菅野智之(28歳)という大黒柱はいるものの、それに続く若手は田口麗斗(22歳)以外見当たらない。リリーフもマシソン(33歳)と澤村拓一(28歳)はまだ力があるものの、長年チームを支えた山口鉄也(34歳)が完全に勢いを失っている。FAとトレードで獲得した山口俊(30歳)、森福允彦(31歳)、吉川光夫(29歳)の三人も年齢を考えると大きな上積みは考えづらい。今年はベテランと外国人の力で何とかなるかもしれないが、数年後の見通しは非常に暗い。
停滞した空気を一層するためにスター選手を獲得するというのは有効な手段である。そういう意味では清宮幸太郎(早実・一塁手)を目指すべきだという考え方もあるが、若手を抜擢できない現状を見るとチームにとっても本人にとっても得策ではない。そうなると昨年のドラフトで田中正義に入札したように、投手陣の立て直しというのが現実的な方針となりそうだ。即戦力なら田嶋が一番の候補だがそれ以外では西村天裕(NTT東日本)を推したい。帝京大時代はドラフト直前の膝の大怪我で指名漏れとなったが、当時から上位候補に挙げられていた本格派右腕だ。昨年は夏場に復帰し150kmを超えるスピードを連発して復活を印象づけた。抜群のスタミナで先発もリリーフもこなせる即戦力候補である。
野手は弱いポジションを考えるとやはり捕手ということになる。小林がようやく正捕手を掴んだが打撃の弱さは相変わらずで、控えも相川亮二(41歳)、實松一成(36歳)のベテラン二人で全く若さがない。そこでおすすめしたいのが村上宗隆(九州学院・捕手)である。まだ粗さはあるものの打者としてのスケールの大きさは清宮、安田にも引けをとらない。そしてディフェンス能力の高さも超高校級である。阿部に続く打てる捕手という系譜を継ぐ選手としてぜひ狙うべきだろう。