■ヤクルト

補強ポイント】
・一にも二にも投手陣の底上げ
・坂口、雄平の後継者となる外野手

 一昨年の優勝から昨年は5位へ急降下した。その原因は間違いなく投手陣にある。昨年のチーム防御率4.73はダントツのリーグ最下位(5位はDeNAの3.76)。二桁勝利をあげた投手は一人もおらず、リリーフも秋吉亮(28歳)以外は計算できないというまさに壊滅的な状態だった。統一ドラフトとなった08年から15年のドラフトで2位以上で指名した投手は13人いるが、そのうち現在の主力と呼べるのは小川泰弘(27歳)だけ。いかに上位指名した投手が戦力になっていないかが分かる数字である。先発は小川以外では石川雅規(37歳)と館山昌平(36歳)のベテラン二人が中心。リリーフも松岡健一(35歳)、村中恭兵(30歳)、久古健太郎(31歳)とピークを過ぎた感のある投手が名を連ねており、早急な手当てが必要である。

 一方の野手は昨年のチーム打率、得点とも広島に次ぐ2位とリーグでも屈指の攻撃力を誇る。リーグの顔とも言える山田哲人(25歳)と在籍6年で5度の30本塁打以上を誇るバレンティン(33歳)の大砲二人が揃っているのが大きい。川端慎吾(30歳)、畠山和洋(35歳)が故障がちなのは気になるが、西浦直亨(26歳)と廣岡大志(20歳)も伸び盛りで内野は備えができている印象。捕手も中村悠平(27歳)と西田明央(25歳)の若さのある二人がレギュラー争いをしており、即戦力は必要ない状況だ。少し気になるのは外野手。昨年は坂口智隆(33歳)が見事に復活を果たし雄平(32歳)もまだ力はあるが、ともに30歳を過ぎているだけにそろそろ世代交代を考えるべきだろう。

 まず手をつけるべきなのは当然投手陣。昨年は高校ナンバーワン左腕の寺島成輝(19歳)と154km右腕の星知弥(23歳)を上位指名で獲得したが、それでもまだまだ足りない。特にここ数年は寺島以外はクジで外すのを恐れたような単独指名での投手が目立つ。かつての抽選の強さを思い出してまずは田嶋、鈴木、高橋、西村などの大物を狙いたい。抽選で外れた時や2位以降で狙う投手としておすすめしたいのは石田光宏(東京ガス)。スピードもあるが球威で押すタイプではなく、投球術に長けた先発型の右腕だ。関西大ではリーグ戦通算30勝をマークしており、故障なく投げ続けられるタフさも大きな魅力だ。寺島に続く高校生の大器として石川翔(青藍泰斗)、山口翔(本工)も候補。ともに細身だが柔らかい腕の振りで140km台後半のスピードを誇る。今後の活躍次第では上位候補に浮上する可能性もある将来性豊かな右腕だ。

 外野手では島田海吏(上武大)を推したい。最大の武器は抜群の脚力で、ヒットでも足を緩めない走塁は圧巻。プレースタイル的にも坂口によく似ており、後継者として期待できるだろう。

次のページ