■中日
【補強ポイント】
・長くレギュラーを務められるスケールの大きい野手
・下位で獲得できる数年後のローテーション候補
昨年は19年ぶりの最下位に沈み、4年連続でBクラスと二リーグ制になってから最長の低迷期間に入っている。落合博満監督時代の主力選手の世代交代に失敗したのがその原因だ。かつての投手王国も昨年は規定投球回に到達した選手がゼロ。中心となる大野雄大(29歳)、若松駿太(22歳)、吉見一起(33歳)の三人の顔ぶれは悪くないが、大野と若松は貯金ができるタイプではなく吉見も過去四年間は故障での離脱が多く過剰な期待はかけづらい。リリーフで実績のある又吉克樹(27歳)が先発に転向し、小笠原慎之介(20歳)、鈴木翔太(22歳)の高校卒のドラフト1位二人の存在も楽しみだが、外国人頼みの状況はしばらく続きそうだ。リリーフは先発に比べると安心感がある。抑えの田島慎二(28歳)は安定勢力でそれに繋ぐ岡田俊哉(26歳)、福谷浩司(26歳)もまだ伸びしろがある。三ツ間卓也(25歳)、岸本淳希(21歳)と育成選手出身のリリーフタイプが育っていることもプラス材料だ。
野手はFAでの流出が噂された大島洋平(32歳)と平田良介(29歳)の二人が残留したのは大きいが、ともに大きな上積みが期待できる年齢ではなく、投手陣と同様に外国人選手への依存度は高い。入団当初から中軸候補と期待され続けている高橋周平(23歳)も横ばいの成績が続き、堂上直倫(29歳)も完全に守備の人に落ち着いた。福田永将(29歳)が遅咲きで開花してきたのはプラス材料だが、若手野手の絶対数が少ないため数年後にはまた超高齢化打線に陥る危険性が高い。
必要なのはとにかく将来の中軸になれる野手。24歳以下の若手と呼べる支配下登録の野手は今年入団したルーキーを含めてもわずか5人。22歳以下はルーキーの石垣雅海(19歳)だけしかいない。清宮、安田のスラッガーはもちろん候補になるが、それ以外の高校生野手も積極的に狙いたい。平田の後釜として期待できる右の強打者タイプでは福元悠真(智弁学園)を推したい。リストの強いバッティングと1番も打てる脚力が持ち味で、広いナゴヤドームにも対応できるタイプだ。捕手も支配下の選手で最も若いのが加藤匠馬(25歳)と補強ポイントになる。高校生で推したいのが古賀悠斗(福岡大大濠・捕手)。2年秋に内野手から転向したとは思えないレベルの守備で、スローイングは超高校級。体はそれほど大きくないが、高校通算40本塁打を超える長打力も備えている。
投手で必要なのはリリーフよりも先発。下位で狙うなら他球団の事例だが高梨裕稔(日本ハム)のように、まとまりよりも伸びしろが大きいタイプを狙いたい。面白いのが嘉陽宗一郎(亜細亜大)と近藤弘樹(岡山商科大)の大学生の大型右腕二人。嘉陽はなかなか体のキレが出ずに伸び悩んでいるが、高校時代から大器と評判の投手。近藤も完全な未完の大器タイプだが、190cmの長身で150kmのスピードがあるのが何よりの魅力だ。ともに大型ながら器用さがあり制球は悪くないだけに、上手く育てればローテーションの中心になれる素材である。(文・西尾典文)