インドア女子バレーボール選手として4度の五輪に出場、エースとして、キャプテンとして、いつも背負い続けて来た。シーズン開幕前に自ら「これが最後」と宣言した今シーズンも時には後輩たちに「チーム内でライバル争いをしているのはよくわかるけれど、だからこそ、試合に出るだけで満足するのではなく、そこでしっかり結果を出せる選手になってほしい」と珍しく、少し厳しい言葉も発した。

 それは、これからを担う選手たちへ向けた木村沙織からのエールだった。

「今の若い選手たちには、これからの、新しい東レアローズをつくってほしい。そのために、もっと強い選手になってほしいです」

 これが、ラストシーズン。

 ファイナル6は残り3試合。たとえ厳しい現状でも、戦い続ける。共に戦う選手たちも、体育館に足を運ぶ観客も、その姿と笑顔を、目と心に強く焼き付ける。その先につながる、奇跡を信じて。(文・田中夕子)