ジャポニカ学習帳から「昆虫」が消えた――。
2014年にネットで突如話題となり大論争を巻き起こしたこの騒動は、Amazonで歴代表紙の人気投票を行い、そこで選ばれた昆虫が表紙のジャポニカ学習帳を見事復活させるというドラマチックな展開で幕を閉じました。
その仕掛け人であり、これまで200社以上の企業ブランド構築やPRを手掛けてきたPRの達人、上岡正明さんが新刊『共感PR――心をくすぐり世の中を動かす最強法則』(朝日新聞出版)の中で、PRに必要な「8×3の法則」について明かしてくれました。
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世の中の関心を集めヒットにつながったPRを仕掛けたとき、私が何をしたか。結論から言えば、ごくシンプルなことしかしていません。
「クライアントにヒアリングをして、どのようにPRを仕掛けるかを考えて、実行に移す」
これだけです。
もう少し具体的に言えば、私の会社では、通常三つの手順を踏んでクライアントのPRを実行します。
1.現在の企業環境や、ミッション、ビジョン、事業課題などを分析<ヒアリング>
↓
2.PRしたい商品やサービスのPR戦略を練る<「8×3」の策定>
↓
3.実行
ただ、この記事を読んでPRに活用しようという人の多くは、PR会社を通さず自社で独自にPRを考えていると思います。
その場合は2の<「8×3」の策定>から着手してください。2を考えているうちに、おのずと自社の理念やビジョンについて改めて立ち返ることになり、商品やサービスの課題や問題点を洗い出す、すなわち1を考えることにもつながっていくからです。
自社でPR戦略を考える際、1は今さら分析するまでもないと考えがちですが、2の作業をしていると、そうではないことに気づく場合が少なくありません。自分の会社がどこに向かっているのか、どうしたいのか、何を課題としているのかを改めて考えてみることで、自社の強みも見えてきます。PR戦略をより強化することにもなるのです。
さて、2のPR戦略を考えるときは、基本的に次のことだけを念頭に置いてください。
「メディアやSNSに情報を流す場合、何が最もアピールできるポイントになるのか」
クチコミを広めるためには、共感される、つまり情報そのものに心がときめいたり、誰かに広めたいと動機づけられるようなインパクトが必要です。メディアであっても、それは同じです。それぞれの媒体ごとに特徴や専門性がありますが、共通している点が一つだけあります。それは、読者(人)に情報を届けることを役目としている、ということです。