「不良ファッションの店なので、初めて利用されるお客さまの中には不安に思う方もいるはず。ただ怖い感じにするのではなく、ユーモラスでどこかかわいげのある要素を取り入れるようにしています。マウスカーソルを追跡してくる暴力団風の男のアイコンや、『ムショ割り』などのお馬鹿なキャンペーンは、そうしたお客様の不安を緩和するためでもあります。また初めてのお客さま向けのQ&A設置や、購入していただいた方にはお礼状を送るなど、なるべく恐怖を与えないように配慮をしています」
ちなみに、「ムショ割り」とは刑務所や拘置所等に収監されている人に服を贈る場合、5%割引になるキャンペーンだという。石川氏曰く、年間300人ほどの利用者がいるそうだが、「非常にデリケートな問題なので、実際に収監されている証明は求めていません。ジョークで利用するお客様も多いようです」とのことだ。
また、サイトデザインのみならず、販売する衣服に対するこだわりも並々ではない。
「もともとは仕入れた衣服を販売していたのですが、実のところ、既製の不良ファッションはどこか『悪さ』に躊躇があるのです。不良ファションは極限まで突き抜けていないと非常にかっこ悪い。そこで一瞬見ただけで完全に極悪人だとわかる服を自分でデザインするようになりました。自分の美学や世界観を込めた服を喜んでもらえると、自分自身が受け入れられたようで喜びを感じますね」
たしかにバースジャパンが販売している服は強烈だ。足元から胸元まで黄金の昇り龍が描かれたセットアップ、全身に般若心経がプリントされたジャージ、そしてピコ太郎氏のものと同型の蛇柄スーツ(現在は完売)。こんな服を着た人と電車で隣り合わせたら、間違いなく次の駅で下車すると断言できる。
ところで、ピコ太郎氏が服を購入したという噂は本当なのだろうか。石川氏に尋ねると、「プライバシーの問題があるので、彼が当店で購入したかどうかはお答えできません」とのことだ。
石川氏の「不良の美学」が凝縮されたバースジャパンのサイト。「不良でなくても大歓迎」とのことだが、アクセスする場合、スマートフォンではいくつか機能しないギミックがあるため、その衝撃的な全貌を味わいたいのならばPCを使って閲覧するのがおすすめだ。