トランプ次期大統領が打ち出した経済政策「トランプノミクス」を背景に、世界の金融市場では、株高・ドル高が続いています。

 強いアメリカを取り戻すために、(1)中間所得層へ大型減税、(2)10年間で1兆ドル規模のインフラ投資、(3)保護主義的な通商政策、(4)金融規制の緩和など、年4%の経済成長を目指す景気刺激策の実現を、金融市場は先取りしているのです。

 市場の反応は80年代の「レーガノミクス」を想起させます。81年に就任したレーガン大統領は、大規模な所得税減税を断行し、強いアメリカを作り上げようとしました。

■デフレ脱却宣言をするため17年は好景気が期待できる

 トランプ・ショック後の円安ドル高は、日本経済にとってはプラス材料です。ポジティブなシナリオでは、早ければ18年には「デフレ脱却宣言」をするでしょう。

 政府が「デフレ脱却宣言」を行うかどうかは、デフレ脱却が「物価が持続的に下落する状況を脱して、再びそうした状況に戻る見込みがないこと」として、四つの経済指標をもとに判断します。19年10月に消費増税を実施する予定ですが、その前にデフレ脱却宣言ができなければ、延期される可能性があります。社会保障費が増え続けていることを考えると、ここで上げなければ財政が逼迫します。

 消費増税は一時的に景気を後退させます。19年は五輪の建設需要が一段落したのと重なり、景気は冷え込みますが、20年には東京五輪で外国人観光客が訪れ、「クールジャパン」の観光立国として産業が成り立つようになります。

 20年以降は、少子高齢化に歯止めがかからず、人口の減少からGDPが減ってきます。また、団塊世代が75歳以上になる「2025年問題」が浮上し、社会保障費の抑制が課題になってきます。

 日本経済が再び黄金期を迎えられるかどうかは、消費増税前の「デフレ脱却宣言」にかかっているといえそうです。その前年にあたる17年は景気対策を打ってきますので、景気は好転するでしょう。日経平均株価は年末にかけて、2万円台に乗せるとみています。(構成/村田くみ)

■今後の日本経済はどうなる?

2017年 衆議院選挙?
自公連立で過半数が取れないと政権が不安定になり、経済が低迷

2018年 デフレ脱却宣言
バブル崩壊後の長いデフレからついに脱却、好景気に沸く?

2019年 消費税増税
17年に予定していた消費増税が実施され、8%から10%に。東京五輪の建設需要は一段落

2020年 東京五輪
過去最高の外国人観光客が訪れ、クールジャパンの観光立国として産業が成り立つように

2025年 大阪万博
政府が景気浮揚策として誘致。一方で団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」が浮上

※週刊朝日MOOK「定年後のお金と暮らし2017」より

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