とはいえ、3-0と勝利したイエメン戦は後半にセットプレーから1点目が入るまで硬さが取れず、続くイラン戦はDF中山雄太(柏レイソル)を中心とした守備陣が耐えてスコアレスドローに持ち込んだものの、攻撃のリズムを作れず、個人としても消極的なプレーが目立った。内山監督が「ターニングポイントだった」と語ったカタール戦は「ある意味、開き直った中で我々が攻守に目指してきたサッカーができた」結果でもあった。

 選手のタレント力を見れば、前回より明確に上回るとは言えないが、非常にバランスが取れている。戦術のベースはオーソドックスだが、選手が適材適所でつながり合い、局面において相乗効果を生んでいる。このチームの強みであるセンターバックのコンビはクレバーな中山と対人プレーに強いDF冨安健洋(アビスパ福岡)だ。左利きながら右足も自在に操る中山とボランチもこなす冨安は、組み立てでも重要な役割を果たしている。

 ボランチの坂井と市丸はバランスワークに優れ、機を見て攻め上がれる前者とチャンスの起点になるパスが持ち味の後者という組み合わせ。坂井とともに主力として期待されたMF神谷優太(湘南ベルマーレ)はイラン戦で負傷したが、どちらかというと前にどんどん出て行くタイプで、坂井とキャラクターの重なる部分があった。結果論ではあるが、カタール戦とタジキスタン戦ではスタメンに抜擢された市丸の持ち味が大いに発揮された。

 左右のサイドハーフはMF堂安律(ガンバ大阪)とMF三好康児(川崎フロンターレ)という個人の打開力に優れる2人が主力を担うが、チームの攻撃がうまく機能しないと彼らが密集地帯に個人で突っ込んではボールを失う場面が目立ってしまう。その意味でカタール戦とタジキスタン戦はボランチからパスを受けた際、相手と1対1もしくはフリーでボールを持てる状況が増え、彼らから決定的なシーンが生み出された。

 2トップはチームのエースとして内山監督が信頼を置く183cmのFW小川航基(ジュビロ磐田)と鋭い飛び出しを誇るFW岩崎悠人(京都橘/京都サンガF.C.内定)が良好な補完関係を構築している。内山監督は小川になるべくゴール前で勝負させる様に、引いた位置で絡む様なプレーを限定させた。機動力の高い岩崎の起用は小川をなるべく高い位置でフィニッシュに専念させる効果も生んでいる。

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