教育実習を行う登坂絵莉。小柄だが金メダリストのオーラは全開
教育実習を行う登坂絵莉。小柄だが金メダリストのオーラは全開
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倒立前転をする生徒をがっちりサポートする登坂絵莉
倒立前転をする生徒をがっちりサポートする登坂絵莉

 リオデジャネイロ五輪のレスリング女子48キロ級で金メダルを獲得した登坂絵莉(東新住建)が9月12日から3週間、母校の富山県高岡市立南星中で教育実習を行っている。教科は保健体育で、クラスも担当している。生徒によると、マット運動の難易度の高い技でも手本を見せてくれるとか。“登坂先生”は金メダル級の指導力を発揮しているようだ。

 登坂が主に担当するのは3年生女子のマット運動。指導教官である新田公代教諭について7回の授業を受け持つ。長さ6メートルのマットを縦に2枚つないだスペースで五つの技を発表することを最終課題とし、生徒それぞれが構成や技のつなぎを考える。登坂は、練習する過程を見守り、見本を示したり、補助したりしながら指導する。

 21日に行われた4回目の授業は、五つの技をどう組み立てるかに主眼が置かれていた。「オリンピックで体操、見ていたかな? 大技は最後にやるよね。どうしてだろう?」と尋ねて、生徒に考えさせる。身長152センチなので、生徒を見上げて声を掛ける場面も。目を見て話し、辛抱強く答えを待つ。生徒の視線を一身に集めて授業を展開した。

 動き出すと、金メダリストのオーラとパワーは全開だ。背中に「JAPAN」の文字を背負う“登坂先生”、きびきびとしてカッコいい。笛を吹いて生徒に集合をかける姿も様になっている。倒立前転に挑戦する生徒の横に立ち、腕に力こぶを作って脚を支える。「よっしゃ!」「もう、ちょい!」と元気いっぱいだ。

 当然ながら生徒から「お手本を見せて!」と声がかかる。登坂は柔軟性が高く、技が正確なのはもちろんのこと。難しい姿勢を取りながらゆっくり動き、動作を分解して見せる身体能力がある。「さすが金メダリスト」と思わせられた。倒立前転をリクエストし、“超スロー”で見た生徒は、目を丸くして驚く。「全身がばねみたい。筋肉がすごい」。演技後は大きな拍手が起こった。

 思春期まっただ中の中学3年生、いろんなタイプがある。「先生、見て、見て!」と敬語を使わずに話しかけてくる生徒には、「分かったよ」と友達のように接する。休み時間に、勇気を振り絞って質問してくる内気な生徒もいた。「レスリングをしていてよかったと思ったことは何ですか?」と聞かれ、「吉田沙保里さんに会い、学べたこと。応援してくださる方に素直に感謝できるようになったよ」と真摯に答えている。“登坂先生”は、懐深く飛び込んでくる生徒を、がっちり受け止めているようだ。指導に当たる新田教諭も「生徒の思いを感じる力を持っている。我慢強い」と感心する。
 

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