今シーズン前半戦では規定打席には到達しなかったものの、チーム最高の打率.335と好調だった42歳の大ベテラン。第4の外野手として、休み休みプレーしていることがチーム、本人にとってプラスに働いていると見る関係者は多かった。それがここでレギュラー扱いになり、23日まで28打数5安打とやや調子は落ちている。

 今後もマーリンズがスタントン抜きで得点力を保つために、チーム内の多くの選手たちの貢献が必要だ。特に“スタントンの代役”という形になったイチローは、主砲とはまた違う方法で、疲れが出る夏場以降もチームを助ける術を見つけていかなければいけない。

 スタントン以外にも、先発投手陣からはアダム・コンリー、チェン・ウェイン、打線からは今季15本塁打のジャスティン・ボアが故障離脱している。正直に言って、今のマーリンズは優勝がねらえるチームにはとても見えないのも事実ではある。

 ただ、マーリンズは1993年に誕生とまだ歴史の浅いチームながら、プレーオフには過去2度進出し、その2度とも世界一になっている。伝統的な秋の勝負強さに加え、ホセ・フェルナンデスという大エースを擁しているだけに、ポストシーズンに進みさえすればあるいは……?

 3000本安打達成の年に、チームの予想外のプレーオフ進出に貢献すれば、2016年はイチローにとって素晴らしい年になる。そんなシナリオを実現させるべく、今後も代役スタメンとして力を振り絞って欲しいところだ。

 まずはロイヤルズ、その後にパドレスを挟んでメッツ、インディアンスと強豪との対戦が続いていく。特に今後2週間の戦いが、マーリンズとイチローにとって大きなポイントとなりそうである。(文・杉浦大介)