2016年から、新たに国民の祝日となった8月11日「山の日」。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日で、全国各地で式典や記念講演、ハイキングなどのイベントが開かれる。だが、日本気象協会が実施したアンケートでは回答者の約3割が「聞いたことがない」と答えるなど、まだまだ知らない人もいる模様。そんな山の日に関するさまざまな疑問について調べてみた。
■なぜ8月に「山の日」なのか?
16年の「山開き」(一般の人々が登山や入山を許されること)の時期を調べたところ、上高地(長野県)は4月、ミズバショウの群生地として有名な尾瀬国立公園(新潟、福島、栃木、群馬県)や、中国地方の最高峰、大山(鳥取県)は6月、富士山(静岡、山梨県)は7月だった。夏山シーズン前の6月でも良さそうだが、なぜ、暑さが厳しい8月に設定されたのだろうか?
登山団体や企業、自治体などでつくる「全国山の日協議会」によると、国民の祝日としての「山の日」制定は、2008年、作曲家の船村徹さんが地方紙で「海の日」(7月の第3月曜)に対して「山の日」をつくり、「山海の友情」を厚くしよう、と呼びかけたのが始まりだという。2010年に日本山岳協会など5団体が制定に向けて動きだし、13年には国会議員による超党派の議員連盟が設立された。そして14年、祝日法が改正され、晴れて8月11日が「山の日」となったのだ。
運動が始まった当初は6月にしようという案もあった。しかし、「多くの人が安全に山に親しみ、身近に感じてもらえる」「国民の祝日がない」「お盆休みが近く、経済界、産業界からも歓迎される」などの理由から、8月が選ばれたのだという。夏休み中ということで、学校の年間授業日数にも悪影響がない、という学生にとっては残念(?)な事情もあったそうだ。
また、お盆休みにつなげるため、8月12日を推す案もあったが、その日は日航機墜落事故が起きた日。慰霊の日にあたるため、最終的に8月11日に決まったのだという。
■独自に「山の日」を定めている自治体も!
そんなこんなで国民の祝日となった「山の日」だが、実は、長野県や大阪府、広島県、愛媛県など、独自に「山の日」を設けている自治体もある。2010年から10月の第1日曜を「ぐんま山の日」としていた群馬県では今回、祝日の誕生を受け、ぐんま山の日を廃止。県の担当者は「もともと全国的に山の日を作ろう、という流れの中でできたもの。第一の目的としてきた祝日ができたので、発展的に解消した」と説明する。