リオ五輪に臨むU-23日本代表の南野拓実(写真:Getty Images)
リオ五輪に臨むU-23日本代表の南野拓実(写真:Getty Images)
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 オーバーエイジの3人を除き、「23歳以下」という年齢制限が設けられているオリンピックの男子サッカー競技。ここでの経験を糧にこの先のA代表(年齢制限のない日本代表)選出、ヨーロッパのクラブへの移籍を目指す日本の若き選手たちの中で、すでに代表デビューを果たし、ザルツブルクの一員としてヨーロッパの舞台で戦っているのが、21歳の南野拓実だ。

 セレッソ大阪の下部組織で育ち、高校生だった2012年に二種登録選手としてJ1デビューを果たした。2013年には晴れてトップチームに昇格し、高卒ルーキーとしてクラブ史上初めて開幕戦のスタメンに選出。シーズンを通してレギュラーとして活躍した。

 2013年と言えば、同じくC大阪の下部組織で育った先輩たち――柿谷曜一朗、山口蛍、扇原貴宏らがA代表デビューを果たし、C大阪の選手育成がおおいに注目を集めたシーズンだ。しかしその頃、育成部門の最高責任者を務めていた宮本功氏は当時の高卒ルーキーに対してこんな風に言っていた。

「我々が『こういう選手を育てたい』という理想像を最も体現しているのは、実は拓実なんです。スピードもあって、クイックネスもあって、走れる。攻守両面に関わり続けることができて、周りも見られる。曜一朗は確かにスーパーだったけど、レギュラーになるのに必要なものを身に付けるまで7年かかった。でも、拓実は1年目ですでにすべてを備えているんです」

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