前置きが長くなったが、錦織圭にとってオリンピックとは、どのような大会だろう?

「単純には、小さいころから見てきた夢というか、一大イベントとしてここに出たいなという想いは、なんとなくあった」

 7月13日に都内で行われた会見で、錦織はオリンピック出場を明言した上で、“世界最大のスポーツの祭典”への想いをそう語った。

 テニスにおけるオリンピックの価値は上がったと先述したが、今回のリオ五輪に関しては治安やジカ熱、さらにはランキングポイントが得られない等の懸念材料も多く、早々に出場を辞退した選手たちも居る。加えて錦織には、腹筋のケガという不安材料もあった。2週間前のウィンブルドンでは、痛みに耐えきれず4回戦で途中棄権。「寝がえりを打っても、くしゃみをしても痛かった」。ウィンブルドン期間中はそのような状況であったが、現在ケガは回復に向かっており、現地時間7月25日開幕のトロント・マスターズを経てリオへと向かう予定である。

「日本人として出られる誇りと、あの場に居られる喜びのため」

 オリンピック参戦の意義と理由を、彼はそのようにも定義した。オリンピック出場を決意した背景には、過去に出場した2度のオリンピックがいずれも、彼にとってキャリアの一つのターニングポイントになったこともあるだろう。

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