オリンピックが目前に迫ったリオデジャネイロ。(写真:Getty Images)
オリンピックが目前に迫ったリオデジャネイロ。(写真:Getty Images)
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 開幕まで1カ月を切ったリオデジャネイロ五輪(8月5~21日)。財政難、会場・インフラ整備の遅れ、治安の悪化、ジカ熱問題など数々の不安要素を抱えているが、近年の夏季大会を振り返ってみると、過去3大会でもインフラ整備の遅れは指摘されていた。特に2008年の北京五輪は、深刻な大気汚染が問題視されたほか、チベット問題で批判が起こり、聖火リレーで激しいデモ活動が行われた。

「世界平和に貢献するスポーツの祭典」を謳いながらも、現実はなかなかそうもいかない近年の五輪。そうした背景を踏まえながら、現地で暮らす日本人の声を交えて、五輪開幕を控えるリオのリアルな”危険度”を調べてみた。

 まず、最大の不安材料である治安はどうか。日本でも金品狙いの強盗事件が連日報じられているが、強盗団の中心は貧困層の10代もしくはそれより低年齢の子どもたちだ。彼らは「アハウスタウン(地引き網の意味)」と呼ばれ、少人数で少し離れた場所から標的を定め、一気に近づいて取り囲んで金品を奪い去う。格好の標的は“歩きスマホ”をしている人。特に、中古価格で数万円から十数万円の高値で売買されるiPhoneが非常に狙われやすい。現地で暮らす人は、街中でスマホを使わずに、どうしても使いたいときは建物の中に入っているとか。

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