連日の猛暑のせいでもないだろうが、民主党の"溶解"が止まらない。7月11日に小沢一郎氏(70)が新党「国民の生活が第一」を立ち上げてわずか1週間で、衆参4人が離党届を提出。さらに党内のそこかしこに「予備軍」が跋扈(ばっこ)し、野田政権はまさに液状化した状態だ。
参院民主は、もはや待ったなしの状況だ。あと3人離党者が出れば、第1党を自民党に譲ることになり、参院議長職は輿石東幹事長(76)のかなわぬ夢となる。
そんななか、参院の「離党予備軍」が18日夜、東京・赤坂に集結した。参加したのは、一川保夫参院幹事長(70)、田中直紀前防衛相(72)ら十数人。今後は月1度、水曜日に集まることを決め、会の名称も「さんすい会」とし、会長には川上義博議員(61)が就任した。次の焦点は、8月半ばとみられる消費増税関連法案の参院採決だ。
「会のメンバーの何人かは、小沢さんが野田政権に波状的に揺さぶりをかけるため、わざと党内に残したんですよ。採決を巡って、また党内がごたごたしますから」(小沢氏周辺)
もっとも、こうした状況でも、首相官邸の危機意識は極めて薄いという。最近、ある民主党関係者が野田首相側近を怒鳴りつけた。
「党内の参院の状況がわかっていないもんだから、『何を考えているんだ。お前らがちゃんと動け』と言いました。自公と手を結んでいるから簡単に法案が通るものだと思い込んでいる。官邸の側近たちは揃いも揃って仕事をせず、まったく情報が取れていない」
事実、いまや「自民党野田派」とまで言われる野田政権だが、頼りの自民党は法案への反対や内閣不信任決議案をちらつかせながら、衆院解散・総選挙を求めて攻め立てている。
同じ民主党内でも鳩山由紀夫元首相(65)周辺が、離党や内閣不信任案への賛同をちらつかせて、政権を追い込みにかかっている。
「ロンドン五輪行きを画策している時間があるのなら、もっと党内対策をやれ」
といった不満の声が方々から出る有り様だ。
※週刊朝日 2012年8月3日号