中学校の昼食は、いまや多くの学校で給食が実施されている。「完全給食」(牛乳や補食のみを提供する「ミルク給食」や「補食給食」を除く)を行っている割合は全国平均で約81%(2014年度文科省調査)にのぼり、東京都(98%)や千葉県(100%)、埼玉県(99%)といった都県は軒並み高い実施率を誇る。そんな中で今でも「中学校で給食がないのは当たり前」という地域が神奈川だ。神奈川県の完全給食の実施率は24%。全国の都道府県で最下位という状況となっている。
中学校の給食といえば、その実情が注目されるきっかけとなったのが大阪だ。今から5年ほど前、2011年3月時点での大阪府は給食の実施率がわずか10%超。神奈川県とワースト争いを繰り広げる“常連”だった。
ところがその後、府は給食を進める方針に転換し、5年間で総額246億円にのぼる施設整備費などの補助を実施。2014年度の調査では実施率を64%まで上昇させた。当時の橋下徹大阪市長らが完全給食の実施を公約にしたことでも話題となった。
最下位だった大阪府が中学校給食に踏み切ったこともあり、全国的な実施率は年々上がっているが、神奈川県内では未だ2割超にとどまる。理由の一つが県内人口の6割を占める政令指定都市の横浜市と川崎市における実施率の低さにあった。
▼「昼食は家庭の責任」と弁当持参を求める
「昼食は家庭の責任」(横浜市)として弁当の持参を求め、両都市とも「家庭弁当は親子の絆を深める」ことや「財政難」といった理由をあげて、完全給食の実施には消極的だった。