資産保全のために朝倉社長が勧めるのは、運用コストの低い投資商品を選ぶこと。具体的には投資信託(インデックスファンド)とETF(上場投資信託)を組み合わせた分散投資である。少ない資金で手軽に資産形成を始められるのが投資信託の特徴だ。ある程度まとまった資金を運用したい人、極限までコストを抑えたい人にはETFが向いているだろう。

 運用する上で最も気をつけるべきポイントは、リスクの分散を図ることだ。かつては「外国(先進国)株式、外国(先進国)債券、国内株式、国内債券」という伝統的資産への分散が基本とされてきた。しかし近年はグローバル化によって市場連動性が高まっていることや、超低金利が続いていることなどから、これまで常識とされてきたやり方では十分な分散が期待できなくなっているのだ。

 そこで朝倉社長は、米国の大学財団の運用姿勢がお手本になると明かす。どういうことなのか?

 大学財団は寄付された資金を運用することで、それを元手によりよい設備を整えたり、優秀な教授を迎え入れたりしている。例えばエール大学財団の過去のパフォーマンスを見ると、投資のプロが運用するバランス型ファンドを大きく上回っていることがわかる。そのポートフォリオ(資産構成割合)の中身は、伝統的資産だけでなく、絶対収益追求型ファンド、未公開株式、資源や不動産といった代替(オルタナティブ)資産を多く組み入れている。これは未公開株にはより高い成長を、資源にはインフレヘッジ機能を、不動産にはインカム収入機能を、といったように多様な資産に異なる役割を期待していると考えられる。

 そこから朝倉社長が導き出したのが、(1)成長資産70%、(2)インカム資産20%、(3)インフレヘッジ資産10%という黄金比だ。内訳は成長資産=日本株、先進国株、新興国株、中小型株、インカム資産=先進国債券、新興国債券、ハイ・イールド債券、インフレヘッジ資産=金(ゴールド)とされている。この比率を参考にして具体的な投資商品を選べば、マイナス金利にも負けない「究極の分散」が期待できるという。

 マイナス金利時代はこの先もしばらく続きそうだ。しかし、最低限のポイントさえちゃんと押さえていれば、金利や相場の変動に一喜一憂することなく、少ない手間とコストで資産形成を図ることも可能だ。これを機会に資産保全策について再検討してみるのもよいかもしれない。

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