いまや預貯金だけでは資産を守れない時代。世界一の投資評価機関トップが教える「黄金比」とは?(※イメージ写真)
いまや預貯金だけでは資産を守れない時代。世界一の投資評価機関トップが教える「黄金比」とは?(※イメージ写真)
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 長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが過去最低を更新し続けている。6月16日には初のマイナス0.2%台をつけた。世界経済への懸念に加え、日本銀行がマイナス金利幅をさらに拡大し、追加緩和をするのではないかとの見方が影響しているようだ。

 こうした状況下で「資産を守る」ための手段として、資産運用が重要性を増していると指摘するのが、投信評価機関モーニングスターの朝倉智也社長だ。『マイナス金利にも負けない究極の分散投資術』(朝日新聞出版)では、先の読めない時代に適した資産運用の新しい方法を説いている。

 マイナス金利政策とは、民間銀行が日本銀行にお金を預ける際の金利をマイナスにする政策である。通常、銀行にお金を預けると金利にしたがってお金は殖えるが、逆にお金が減るのがマイナス金利だ。民間銀行は日銀にお金を預けると損をしてしまうため、融資やローンなど他にお金を回すようになる。これが政策の意図である。

 このマイナス金利政策下では、国債の長期金利だけでなく、私たちの預金金利も下がる傾向にある。預金金利自体がマイナスになるようなことはさすがにないと予想されているが、手数料の引き上げ、口座管理手数料の導入など私たちの負担は大きくなる。普通預金金利が年0.001%では、100万円を預けても1年間に10円しか殖えない。これではATM(現金自動預払機)の利用で簡単に吹き飛んでしまう。

 また、マイナスにならないというのは名目金利の話であって、今後物価が上がっていくことを前提にするならば、実質的な金利はマイナスだ。金利が0.001%でも、物価が年に0.5%上がったとしたら、預けた100万円は1年後に99万5010円まで目減りしてしまう。預貯金以外の資産保全策に注目が集まるゆえんだ。

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