「遺言書」と聞くと、残せる財産がたくさんある人や、家族仲が悪い人が書くもの、というイメージを持つ人が少なくありません。しかし、遺言書を書かなかったばかりに、家族関係が悪くなることも……。週刊朝日ムック『はじめての遺言・葬式・お墓』(朝日新聞出版)で紹介した、「思いを実現する遺言書」の書き方をお教えします。
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誰しも、これまでの人生で苦労して築き上げた財産には思い入れがあるものです。自分が死んだ後に残される遺産を、大切な家族やお世話になった人に残したい。思い出が詰まった自宅を、子や孫の代まで引き継いでほしい。そういった希望を文書に残し、その希望を死後に実現してくれるのが、遺言書です。
「遺言書は資産家が書くもので自分には関係ない」「わが家は円満だから、遺言書を残さなくても家族でうまくやってくれる」などと考えている人もいるでしょう。
あるいは「遺言書を書くのはまだ早い」と、相続について考えるのを先延ばしにしている人もいるかもしれません。
しかし、遺言書をきちんと残さなかったばかりに、本人が望んでいたようなかたちで遺産分けがなされなかったり、相続をきっかけに家族関係に不和が生じてしまったりするケースも珍しくありません。