――バレエダンサーの奥さまには日々「愛してる」の言葉を欠かさず、ご家族の仲が本当に良いと評判です。家庭内の環境は、作品にも反映されますか?

 どうなんでしょう。自分ではわかりませんが、仲が良いのは確かです。みんなバレエをやっているから共通の話題があって、非常に助かっていますね。娘はツイッターなどで作品を宣伝してくれたり、カラーをやってくれています。それと、好きなので猫の話題もありますね。家猫の他に地域で面倒を見ている外猫もいて、今朝も常連さんにご飯をあげてきました。

――奥さま、お嬢さま、ご子息、そして先生と、家族全員でバレエをされているんですね。44歳からバレエを始めたという先生の衝撃的なバレリーナ姿、テレビで拝見しました。

 自分でも衝撃的でした……。バレエ漫画も描いたことはありますが、すごく難しい。批評家がそばにいるから(笑)。指一本の角度が違うだけで怒られるんです。山岸凉子先生が仰っていたんですが、決めポーズを1枚描こうとすると、下絵だけで1日かかるということでした。重心が地球に対してピタッと決まっていないと、本物じゃないということです。それを探り当てるために何度も何度も描き直して……あんなに難しいものはないですよ。

――今回、ネットで盛り上がった『翔んで埼玉』で、初めて先生の作品を手にとった若い読者も多いかと思います。今は電子化によって昔の作品も手に取りやすく、読者にとっていい時代ですね。

 たぶん私にとってもいい時代なんだと思います(笑)。『パタリロ!』は巻数が多いので挫折しちゃうかもしれませんが、最初の10冊をまず読んでいただけたらと思います。どこから読んでも大丈夫なんですけど、10巻まで読むとだいたいのキャラクター設定がわかりますから。ぜひ一歩踏み出していただけたらうれしいです。

――『パタリロ!』では、同性愛者のバンコランやロリコンのヒューイットなど、さまざまな趣向を持ったキャラクターたちが登場します。ギャグ仕立てなので受け入れやすく、しかしそうした耽美(たんび)な部分も確かな魅力になっています。

 基本的には、全部自分の中にあるんでしょうね。ブラックな部分もあれば、パタリロやバンコラン、ヒューイット的な部分もある。自分にないものは出せませんから。自分というものが球体のように丸くあるとすると、ここがパタリロで、ここがバンコランで……という形になっているのではないかと思うんですね。

――作品にはブラックユーモアが随所に見られますが、先生の人柄なのか陰湿な部分がありません。『翔んで埼玉』もそうですが、ディスられても否定されている気がしない、逆に肯定されているような気もします。

 そうですね。物事を否定したらそこで終わっちゃって、何も始まりませんから。何でもあり、何でもいらっしゃいと思っています(笑)

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?