前者の場合は特に職場の理解とサポートが、後者は夫や親ら身近な人の支えが重要になってくる。結婚・出産を機に、常勤医師から非常勤医師へ働き方をシフトし、育児を中心とした生活を送る女性医師も多いという。

 また、女性医師の大きな課題とされているのが「未婚率の高さ」だ。12年の総務省「就業構造基本調査」のデータをもとにした計算によると、女性医師の生涯未婚率は35.9%。統計上は3人に1人が未婚・独身のまま過ごす。男性医師の2.8%(36人に1人)と比べると雲泥の差だ。

 大きな要因として、病院にいる時間が長く、男性との出会いが少ないことが挙げられる。独身女医35人へのアンケートでも「出会いは多くはない」「全くない」が大半を占めた。

 恋愛の対象は自然と病院内にいる男性、つまり医師となるが、看護師や薬剤師ら“ライバル”もいて競争は激しいらしい。30代の内科勤務医の女性も苦笑いしながら言う。

「確かに倍率は高いですね。そもそも独身の男性医師は少ないですから。私も仕事を理解してくれる方とお付き合いや結婚をしたい。すると相手が限られてくるんですよね(笑)。医師に絞ることで結婚が遠のいている面もあります」

 アンケートでは、既婚の女性医師72人中30人が「夫も医師」と答えている。医学部時代の同級生と結婚するパターンと、2年間の初期研修中に同僚や先輩と交際し、結婚するパターンが多いという。

 ただ、医療関係以外の会社員や公務員、自営業者と結婚している女性医師も少なくない。出会ったきっかけは友人の紹介、合コン、見合いとさまざまだ。患者だった男性とめでたくゴールインした人もいる。

 またアンケートでは、夫は何人目の彼氏ですかと尋ねた。すると、「20人目以上」と回答した人が4人もいた。出会いも人によっては多いのかもしれない。

 前出の北山さんは、友人が経営する飲食店で男性会社員と知り合い、30歳で結婚した。

「医者は特殊な職業でもあるので、確かに相手は仕事に理解がある人がいいですね。でも、男性医師以外にも仕事に理解があったり、応援してくれる人はいると思います。同じ趣味を持つ人も、休日に一緒にいると楽しいのではないでしょうか。最近は夫婦共働きを望む男性も多いようです。ちょっと視野を広げれば、チャンスも広がる気がします」(北山さん)

※AERA Premium『医学部がわかる』(AERAムック)より

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