ビックリマンは、80年代前半に熱狂的なブームを呼び起こし、ピーク時には年間4億個を売り上げたが、その後、人気も徐々に落ち着いていった。2000年頃には一部のマニアを中心とした希少グッズとなっていた。

 そんななか、発売30周年を目前にした2014年頃から、社会人となったかつての少年たちを中心に、欲しかった人気シールを"大人買い"する動きが生まれた。希少なシールに人気が集まり、ブームが再び盛り上がる。

 こうした動きに対して、ロッテも新たな戦略を展開、さらなるユーザーの獲得に乗り出す。2014年に行われた30周年を記念した大規模な「ビックリマン」キャンペーンでは、記念チョコを販売して、限定シールをつけた。このシールはファン投票でキャラクターを決めるユーザー参加型の方式をとった。このほか、原画集を販売したり、原画展を開催したり、シール以外でも過去のコンテンツを楽しめるようにした。

 さらに、千葉ロッテマリーンズの選手・里崎智也さんをPR大使に任命(現在は引退)。冒頭で紹介した「100万円超え」のロッテオリオンズ球団シールのように、オリジナルシールを共同開発した。ほかにも、「ももいろクローバーZ」や「スター・ウォーズ」など、人気アイドルやキャラクターとのコラボ。他のコンテンツとの連携も図った。

 これらのシールのなかには、すでにネットで価値があがりつつあるものもあるようだ。ロッテ第一商品企画部・こどもゴコロチームの本原正明さんはこう話す。

「例えば、里崎さんとコラボレーションした限定配布のオリジナルシールは、今後復活予定はないので、プレミア必至だと思います」

 ただ、前出の喜田さんは、旧来のプレミアアイテムほど価値がつくものは増えないのではないかとみる。

「ここ数年で新たに販売・配布されたものは、現状のコレクターがきちんと保存していますので、ある程度、数が確保され、それほど金額が上がることはないと思います。いわゆる10万円を超すようなプレミアがついている昔のシールは、ほとんどコレクション用に残されなかったもの。だから、あれほど高値で取り引きされているのです」

 現状では、かつてのビックリマンブームのシールのほうがお宝になるということか……あなたの押し入れに眠るシールに、意外な高値がつくかも!?

(ライター・種藤潤)