いよいよ12月18日から公開される『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』。
監督に『FRINGE』や『LOST』で名を上げたJ・J・エイブラムス。脚本には『帝国の逆襲』や『ジェダイの帰還』を書いたローレンス・カスダンが参加。音楽はおなじみのジョン・ウィリアムス。さらに往年の主要登場人物、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)、レイア(キャリー・フィッシャー)、チューバッカ、そしてどこかでルーク(マーク・ハミル)も登場するらしい。考え得る限りほぼ完璧な布陣で制作された今作。公開前から世界的ヒットは間違いないわけなのだが、焦点はどれだけ大ヒットするのかということだ。
気になるのはスター・ウォーズコラボグッズの物量だ。Tシャツやバッグはもちろん、ノートやティッシュ、ビックリマンチョコに至るまで、身の回りのありとあらゆる場所でスター・ウォーズ関連商品を目にする。
それもそのはず、今回のスター・ウォーズのプロモーションは史上最大のスケール。バックには世界のディズニーがついているのだ。
映画制作会社ルーカスフィルムのディズニーへの売却が報じられたのは2012年10月。売却額は40億5000万ドル(約4900億円)とされるが、米経済誌『Forbes』によると、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の関連商品だけで50億ドル(約6000億円)の売り上げが予想されているという。
日本でのプロモーション活動は多岐にわたっており、ANAや東京スカイツリーなど大がかりなものも多いが、最もユニークかつ手の込んだプロモーションは、日本全国のお祭りとのコラボだろう。
2月の「さっぽろ雪まつり」に始まり、6~10月に開催された青森県田舎館の「田んぼアート」や8月の「青森ねぶた祭」、10月には鳥取砂丘に「砂のスター・ウォーズ」がお目見えし、11月には京都・清水寺で「風神レイと雷神カイロ・レンの屏風(びょうぶ)」と「覚醒の書」が公開された。
黒澤映画から強い影響を受けたことで知られるスター・ウォーズは、もともと日本文化との親和性が高い。そこで、日本のお祭りを通してスター・ウォーズを全国的に盛り上げていきたいという意図で今回企画されたのが、この一連のお祭りコラボだ。
さっぽろ雪祭りでは、陸上自衛隊の精鋭の手によりダース・ベイダーとストームトルーパーの雪像が1カ月がかりで制作された。
田んぼアートでは地元の子供たちも参加して田植えが行われ、STAR WARSのロゴとC-3PO、BB-8が描かれた。
青森ねぶた祭りでは、地元のねぶた師である北村春一氏らの手による、C-3POとR2-D2が描かれたドロイドねぶた、ルークやヨーダが描かれたジェダイねぶた、ダース・ベイダーが描かれたシスねぶた、そして新作が描かれたフォースの覚醒ねぶたの4体が展示された。さらに10月の「カワサキハロウィーンパレード」でこれらのねぶたが再登場し、史上最高12万人の動員を記録したという。
鳥取砂丘で制作された「砂のスター・ウォーズ」は、砂像彫刻家の茶園勝彦氏の手によるもので、総量160トンもの砂を使った大作だ。
清水寺で公開された「風神レイと雷神カイロ・レンの屏風」と「覚醒の書」。屏風は俵屋宗達の「風神雷神図」をモチーフにニッポン画家の山本太郎氏が描いたもので、「覚醒の書」は、年末の風物詩となっている「今年の漢字」でおなじみの森清範貫首による揮毫(きごう)だ。
どれもその完成度の高さに驚かされる作品ばかりだが、地方のお祭りだっただけに、見逃した人も多いだろう。そんな人に朗報だ。映画公開にあわせて汐留で開かれる『スター・ウォーズの世界~フォース・フォー・ジャパン』の会場に、ねぶたや屏風などが集結するのだという。見逃した人はぜひ足を運んでみてほしい。
公開日が近づき、ますます盛り上がりをみせるスター・ウォーズ。12月18日に世界一斉公開されるが、ロサンゼルスのチャイニーズシアターだけは17日に先行上映が決まっており、すでに行列ができているという。日本では 18日18:30に全国の映画館で一斉同時公開されるが、前売り券が完売の映画館が続出している。当然ながら筆者も前売り券を購入済みだ。今週末の公開がいまから待ち遠しい。
(文・松岡宏大)