オノゴロ島の伝承地・沼島(ぬしま)写真の兵庫県南あわじ市の沼島は、イザナギ・イザナミが降り立ち大八島を生んだとされるオノゴロ島とされる場所  (c)shimanto / PIXTA
オノゴロ島の伝承地・沼島(ぬしま)
写真の兵庫県南あわじ市の沼島は、イザナギ・イザナミが降り立ち大八島を生んだとされるオノゴロ島とされる場所  (c)shimanto / PIXTA
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 スピリチュアルブームを背景に、メディアをにぎわせた“パワースポット巡り”“聖地巡礼”という言葉。今や、神社仏閣巡りは、一部の若い女性の間では、定番イベントになりつつある。一過性のブームではなくなったとはいえ、訪れた神社の縁起や、祭られている神々の性格まで答えられる人は、そう多くはないだろう。

 神社・祭祀(さいし)とは切っても切り離せない、日本神話の知られざる裏側にまで迫るのが、書籍『今こそ知りたい、この国の始まり 古事記』(朝日新聞出版)。

 同書によれば、日本における天地創造をなしとげ、“国生み”を行ったのは、男神イザナキ(兄)と女神イザナミ(妹)の2柱の神だ。

 神々の国生み、つまりセックス描写は「わが身には一つ余っている部分がある。その部分であなたの足りないところを刺しふさぎ、国を生みたい」(同書より)と、なんともあけっぴろげな表現で語られる。

 実は、この夫婦、子づくりに1度失敗しているのは有名な話。夫婦の儀式を行うにあたり、天の御柱をめぐって対面したところで「ああ、なんてすてきな殿方」「ああ、なんと素晴らしい乙女なのだ」と言挙げをしたのだが、このとき女神イザナミが、男神イザナキより先に声をかけたがゆえに、骨がなく足が立たない“ヒルコ”が生まれてしまった。

 そこで2柱の神は、“女が先に誘ったのが原因で失敗した”という託宣に従って儀式をやり直し、今度は男神イザナキが先に声をかけて契り合ったところ、無事に、大八島(オオヤシマ)と呼ばれる、今の日本国土が誕生したのである。

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