今年6月の代表合宿で右足の中足骨を骨折してリハビリに励んでいた清武弘嗣が代表に復帰した。試合に出たのは今年3月のアギーレ・ジャパンのチュニジア戦が最後。それでも、所属するハノーファーで迎えた新シーズンでは、9月26日のヴォルフスブルク戦で初ゴールを決めて「マン・オブ・ザ・マッチ」に選出されるなど、確実に復調している。
10月1日に発表された代表メンバーでも、香川真司(ドルトムント)をはじめ、日本代表にはドリブルやスピードを武器に突破を図るサイドアタッカーは豊富だ。しかし、清武にはもうひとつ、サイドからの正確なクロスという武器がある。右DF内田篤人(シャルケ)がケガで戦列を離れて以来、日本は右サイドからの攻撃に精彩を欠いていた。長友佑都(インテル・ミラノ)など左サイドと比べると、どうしても見劣りしてしまう。
だが、清武の復帰によって、左サイドに偏っていた攻撃も改善が期待できそうだ。ハリルホジッチ監督は「トップパフォーマンスに戻すのにはまだ数ゲームが必要」と慎重な姿勢を崩さないが、日本の攻撃を活性化する、これまでになかったピースであることは間違いない。
内田の負傷離脱で、酒井宏樹(ハノーファー)がハリルジャパンではその代役を務めてきたが、内田と比べると見劣りするのは否めない。そして、今回はその酒井もケガで代表から外れたため、右サイドの攻撃力はさらに低下することが予想される。そんなタイミングでの清武の復帰は朗報と言えるだろう。
ハリルホジッチ監督は「4-3-3」のシステムをベースにしながら、9月のアフガニスタン戦で「3-4-3」の攻撃的な布陣にチェンジするサプライズ采配をみせた。5-0とリードしていたからこそできた攻撃的なシステムだが、清武の復帰でその選択肢は増えたと言っていい。
(サッカージャーナリスト・六川亨)