2015年3月、大阪―札幌間を走るJR西日本の豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」が老朽化により、最後の運行を迎えた。4月から臨時列車として運行されている、上野―札幌間を結ぶJR東日本の寝台特急「北斗星」も、8月の運行を最後に廃止が決まっている。
上野―札幌間を走る臨時寝台特急「カシオペア」については、廃止などは発表されていないが、今後の運転計画は不透明だ。このように、鉄道ファンもそうでない人もあこがれる寝台特急の改廃が注目を集めているが、それ以外にも、珍しい車両がなくなりそうなのをご存知だろうか。
その一つが、東京と横浜、三浦半島を走る京浜急行電鉄の新1000形車両、通称“ドレミファインバーター”だ。この車両は、人によって聞こえ方はさまざまだろうが、発車時に「ファソラシドレミファソ~」といったノイズ音がすることから、鉄道ファンや沿線の住民らに愛されてきた。ホームに流れるメロディーではなく、自ら音階を奏でるのが特徴と言えよう。
なぜこのような音がするのか。電車が加速する時には、速度に応じて、モーターに流れる電流を「インバーター」という装置で制御している。一般的に、制御の際にノイズ音が出てしまうのだが、この車両の装置は、開発元の海外のメーカーが遊び心を込めて、ノイズ音をメロディーにしてしまったらしい。
京浜急行電鉄では、1998年にこの装置が搭載された2100形の車両を、2002年に新1000形の車両を導入。一時は19本ほど走っていたが、12年からの制御装置の更新により、15年3月末現在では、新1000形の8本が残るのみだという。他の車両と混ぜて使われているため、運行の時間や場所は特定しにくいが、運がよければ会えるかもしれない。
同社の広報担当者は「電車の音までも愛していただけることは、うれしく思う」とコメントしているが、残る新1000形の装置も、いずれは更新される予定だという。
次は、独特の形状をしている東京急行電鉄の5000系車両、通称“青ガエル”だ。渋谷のハチ公前にある車両と言えば分かりやすいだろうか。“青ガエル”という呼び名は、車体が緑色で、正面から見ると、下膨れの愛きょうのある“顔”をしていることからきているそうだ。