ところが15分過ぎから1ボランチに入っている山口の1タッチプレーにより徐々に両サイドから攻撃の形ができてくる。サイドアタッカーの永井や武藤にタテパスを入れ、そのリターンをMFの長谷部や山口が再度タテに出して酒井宏樹(ハノーファー)、藤春の両サイドDFの攻撃参加を引き出していた。
一般的に、攻撃の形を作るのに比べて、守備の形を作る方が時間はかからないと言われている。それを証明したのがチュニジア戦でもあった。FWの3人は前線からプレスをかけるのは当然として、チュニジアが中盤を経由して日本陣内に攻め込もうとハーフラインを越えると、MF陣はマンマークで潰しにかかった。
「各選手には(守備の)ゾーンがあり、相手にターン(前を向かせない)させないようにした」と試合後に語っていたが、どうやらハリルホジッチ監督は守備ブロックをハーフライン5メートル以内に設定しているようだ。そして、MF陣の動きに呼応してDF陣も高いポジション取りとマンマークで2トップへのタテパスをカットしていた。
攻撃の形を作りつつも、なかなか決定機を作れない日本だったが、60分に香川真司(ドルトムント)と本田を、72分に岡崎と宇佐美貴史(G大阪)を同時投入すると、香川、本田、岡崎のハーモニーで両サイドを崩しにかかる。そして78分、岡崎のパスを受けた香川がドリブルでスペースを作って本田につなぐと、本田の折り返しを岡崎がヘッドで決めて先制点を奪う。さらに83分には中央で本田、宇佐美の連係から岡崎に展開すると、香川にラストパス。マーカーの股間を狙った香川のシュートはGKに弾かれたものの、こぼれ球を本田が決めて突き放した。