年齢を経てますます大切なのは、毎日を機嫌よく過ごす力「ごきげん力」ではないでしょうか。
人生いいこともあれば、悪いこともある。馬が合う人もいれば、合わない人もいる。でも、どんなときでも「ごきげん力」さえあれば、大丈夫。
元吉本興業の名物マネージャーで、現在、「笑い」や「元気」などをテーマに年間300回ものセミナー・講演を行う大谷由里子(51歳)さんがお送りする「ごきげんに生きるために大切な習慣」。
大人気イラストレーターの上大岡トメさんのコラボ4コマも同時連載中です!
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新幹線で、わたしの後ろに50代の夫婦と思えるカップルが座っていた。
何気なくそのふたりの会話を聞いてしまった。
女性は、アーモンドチョコを食べていた。男性が言った。
男性「アーモンドチョコ好きだね」
女性「甘いもの食べていると、とっても幸せな気分になるじゃない」
男性「君の幸せは簡単だね」
女性「あなたも食べる?」
そんな会話を聞いていて、「なるほど」と思った。
たしかに、おいしいもの、好きなものを食べていると、心が満たされるかもしれない。
そう考えると、すぐにお腹がすいて、おいしいものを「おいしい」と感じて食べることができるわたしは、とっても幸せだと思った。
そして、何よりも、「おいしい」ものを「おいしい」と感じられる人は、それだけで幸せかも。
わたしの祖母は、いろんなことで苦労した人だった。
戦争、敗戦、貧乏、介護、家の没落などいろんな経験をした。
でも、わたしたち孫にそんな不満を言ったことなどなかった。
それよりも、「おいしいもの食べていると、嫌なことはみんな忘れるわ」と、いつも笑っていた。そんな祖母と祖父は、美味しいものに目がなかった。
「うなぎは、○○だよ」
「おまんじゅうは、△△の店だよ」
と、お取り寄せなどない時代にもかかわらず、遠くまで買いに行ったり、わたしたち兄弟をそこまで連れて行ってくれた。
ありがたいことにわたしたち兄弟は、そんな祖父母にいっぱいおいしいものを食べさせてもらった。
家でも、そんなにお金があるわけでもなかったのに、おいしいものを料理してくれた。
大家族だったけれど、ぶりを一匹なり買ってきて、お刺身、焼き、煮付けを作ってくれた。