アレルギー対策に詳しい東京都羽村市「羽村たつの子保育園」の給食。野菜中心のメニューで免疫力の高い体作りを目指している(撮影/写真部・大嶋千尋)
アレルギー対策に詳しい東京都羽村市「羽村たつの子保育園」の給食。野菜中心のメニューで免疫力の高い体作りを目指している(撮影/写真部・大嶋千尋)
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 離乳食を始める時期に気になり始める食物アレルギー。情報は口コミやインターネットにあふれています。

「でもどれを信じたらいいの?」と不安なママのために、「AERA with Baby4月号」で、昭和大学医学部講師の今井孝成先生に、アレルギーの最新情報についてお聞きしました。

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 食物アレルギー研究の第一人者である今井先生は、「日本人の食生活の変化などが影響して、食物アレルギーの患者さんは、年々増えている印象を受けます」と言います。

 症状が出ても、出ていなくても、ママたちの不安は大きく、「リスクのある食物は一切食べさせない」ということも珍しくありません。

「不安な気持ちは理解できますが、自己判断で食べさせないことにメリットはありません」と今井先生。

 かつては食物アレルギーの治療として、「疑わしい食物は徹底的に除去する(食べさせない)」ことが推奨されていました。しかし、この十数年で研究が進み、治療法は劇的に変化しています。現在は完全除去よりも、「症状が出ないレベルで少量ずつ食べた方が、早く治る」と考えられています。

「乳幼児期に発症した食物アレルギーは、ほとんどが治ります」と今井先生。

「離乳食を始める前でも、食物アレルギーの症状が出ることがあります」と今井先生は言います。

 生後1カ月ごろから乳児湿疹は多くの子に出ますが、肌が健康でない状態が長く続いたときは要注意。放っておくと、環境中の食物の成分が皮膚の炎症部分から直接入り、体がその食物に対するIgE抗体を作って、アレルギー反応が出やすくなります。

「自分や上の子がアレルギー」など、食物アレルギーのリスクがある赤ちゃんに授乳をしているママは、自分自身の食事にも配慮しなくてはいけないのでしょうか。

「母親の食事の母乳への影響はわずかで、多くは赤ちゃんに症状を出現させるほどではありません。妊娠中や授乳中は、栄養バランスのよい食事を心がけてください。自己判断で除去するのはやめましょう」

 子どもに食物アレルギーの不安があると、「とりあえず除去しよう」というママもいるのですが、除去が必要な場合はアレルギー専門医の指導で行うことが原則です。

 食物アレルギーにはこれといった治療薬がなく、自然に治るのを待つしかありません。
「そのまま見守っても、ほとんどが学童期前に治りますが、経口負荷試験で原因食物を調べ、必要最小限食べることで、子ども自身が早く治す力をつけていくことがデータでわかってきています」

※AERA with Baby 2015年4月号より抜粋