かつてスティーブ・ジョブスが「顧客は自分たちがほしいものは知らない」といったことは有名ですが、従来の顧客の声を聞くマーケティング調査ではゼロから1を生み出すような画期的な新しいものは生み出せないのではないかという背景があります。

 デザイン思考の方法とは、まず個別のヒトの行動観察を行い、問題そのものの設定を行い、多様なスタッフによるアイデアの創出を経てプロトタイプを作成しそれらをテストする、という過程を何度も繰り返すこととなります。

 デザイン思考は、従来の他社の過去の実績などに基づく仮説検証ではなく、今目の前にいるターゲットとなる人々の行動観察から今までにないニーズを導き出して、試作品等を使用してもらいながら改善しながら最終製品やサービスを生み出していく方法なのです。

■「オムニチャネル戦略(Omni-channel)」

 オムニチャネルとは、リアルとネットを融合させる戦略で、実店舗、オンラインモールなどの通販サイト、自社サイト、テレビやカタログ通販、ソーシャルメディアなど、あらゆる顧客が接するところから商品を注文・購入でき、また受けとりは近くのコンビニエンスストアできるようにするものです。

 オムニチャネルの「オムニ」とは「すべての」という意味ですが、複数の販路を組み合わせて提供する「マルチチャネル」との違いは、あり得る全ての販路を統合することに焦点が置かれている点です。また実店舗とオンラインの店舗を融合して販売やマーケティングに活かす取り組みは「O2O」とも呼ばれています。

 たとえばセブン&アイホールディングスは「流通革新」第2ステージとして、リアルとネットを融合することで、成熟した国内マーケットに新たな市場と成長を呼び起こすためにオムニチャネル戦略を推進するとしています。

 ビッグデータの活用によってさらにきめ細かい顧客中心の新しい小売の経営戦略として注目を集めています。

■「プラットフォーム戦略(R) (Multisided-Platform Strategy)」

 プラットフォーム戦略(R)とは、関係する企業やグループを「場=プラットフォーム」にのせることで、新しい事業のエコシステム(生態系)を構築する21世紀の勝ち組企業の経営戦略として今もっとも注目されている経営戦略です。

 具体的な成功事例としては、Google、Facebook、アマゾン楽天などのインターネット企業のほか六本木ヒルズやアウトレットショッピングモール、クレジットカード、築地市場、合コンなど実は身近なところに多数存在しています。

 たとえば楽天は「楽天市場」という「場=プラットフォーム」に、モノを売りたい日本全国の中小の小売店をたくさん集めています。しかし楽天自体は決してモノを売っているわけではありません。しかし、こうした小売店の商品を買うためには楽天の会員になる必要があります。

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