ビートたけしが12月14日、ニコニコ生放送の総選挙特番に生出演し、歯に衣着せぬ発言を連発した。番組の視聴者は、最終的に35万人を超え、盛況だった。
たけしが番組に登場したのは、放送開始から約2時間が経過した21時35分ごろ。たけしは着席すると、いきなり「ギャラがいいからここに来た、あとはほとんど興味はない」と言い放ち「選挙のことはよくわからないが、どうせ相変わらずでしょ。どうせ自公が過半数勝ったとか、共産が伸びたとか、そんな話をすればいいんでしょ」と、のっけから”たけし節”を炸裂させた。
続けて持論を展開。「当選した議員に学力テストをもう一回やった方がいい。ある程度の政治の知識が必要。何だかわからないバカヤローが名前だけで受かっちゃう」と語った。さらに「誰が当選するかというトトカルチョをやって、それを税金にしろ」、「投票用紙に番号を付けて、それを宝くじにすればみんな選挙に行く」、「こいつは落とせ、という弾劾選挙をやるべきだ」などと、普段テレビでは言えないような話を連発した。
その後、選挙公約を守らない候補者や当選後に党を変える候補者がいて、何を信じて投票すればいいのかという、視聴者から質問があった。これに対して、たけしは「自分の主張や所属する党を変えると罰金500万、懲役だね」と述べ、政治倫理の違反に対して厳しい罰則を設けるべきだと答えた。
さらに、各党幹部とのやりとりもたけしならではのものとなった。民主党の枝野幸男幹事長とはこんなやりとりがあった。
――民主党に政権が代わってからというもの、年金の問題が先送りされたり大臣が辞めたりなど、結果的にはいろいろミスしていた部分があったと思うが、早めに民主党は自分たちが間違ってたと謝っておけばこうはならなかったのでは?
「選挙後、ゼロからの再出発、同じ失敗は繰り返さないということで、党の綱領や党のモノの決め方を見直したりして、野党第1党としての存在感は示せた。しかし、国民の信頼を得るには努力が足らなかったということだと思う」
枝野氏への質問はこの1つだけで終わり、民主党本部との中継は終了。その後、たけしは「そうは言っても枝野さんね、ゼロはなにもないんだから、ゼロから再出発できるわけがない。ゼロはゼロ、いくらかけたって」と斬り捨てた。
また、公明党・山口那津男代表を困惑させるこんな場面もあった。
――目先の問題というか、介護の問題がすごいが、おもいきって増税分の大半をこうした高齢化問題にあてるということはできないのか。いろいろなところに充てようとして身動きがとれなくなっているのではないか。
「もちろん介護も重要だが、子育ての問題も重要。医療や年金の問題も国民の関心が高いので、それぞれの優先度の高いところからきちんと進めていくことが大事」
――しかし介護をしてくれる人のお金をどーんと上げれば吉原のソープ嬢だって介護になるわけですよ
「……はい」
と、これには山口代表は苦笑いを浮かべるしかなかった。たけしは「吉原のソープ嬢だってお金が高いからやっているわけであって、見たこともない人の身体なんていじりたくはない。しかし介護に同じ金を回せば、感謝されて名が立つ」と持論を語った。
視聴者からのコメントは、大半がたけしの発言に対して好意的だった。「これぞ芸人だ」、「昭和のテレビはこれができた」といった昔を懐かしむコメントも寄せられた。芸人が「風刺」として政治家に斬り込むという姿を、好意的に受け止めているものが多かったようだ。
(ライター・河嶌太郎)