ビル・ゲイツ氏は自らのブログで人の命にとって危険な生き物のランキングを今年4月に発表した。その1位は蚊だ。年72万5千人が犠牲になっている。ちなみに2位はヒトで47万5千人、3位はヘビで5万人、4位は犬で2万5千人、5位はツェツェバエで1万人の命を奪った。
蚊による犠牲者の多くは、マラリアによるものだ。世界保健機構(WHO)によると年約63万人が亡くなっている。今回、約70年ぶりに国内感染が関心を集めているデング熱では、死亡するリスクはマラリアほど高くない。患者の大多数は発熱や頭痛などインフルエンザのような症状が出るが、1週間もたてば自然に回復する。
ただし、患者が増え続けているので油断できない。WHOによれば、デング熱の患者は世界で毎年5000万人から1億人報告され、この50年間で30倍以上に増えた。うち、子どもを中心に50万人が重症化して入院を必要とし、約2.5%が亡くなっている。1970年以前にデング熱が蔓延していたのは9カ国だったが、現在は100カ国以上にのぼる。2010年にはフランスやクロアチアでも国内感染例が報告されている。
日本でも、海外でデング熱に感染し帰国後に発症した人は、1999年は9例だったのが、2005年には74例、2010年には244人が報告されている。インドネシア、フィリピン、インドからの帰国者が多い。今回の国内感染も、海外で感染し日本に入国した人を複数の蚊が刺したことが発端と見られている。