"消費税談合"にひた走る民主、自民党など既成政党の最大の脅威となった「大阪維新の会」(維新)。同会を率いる大阪市の橋下徹市長(42)が、国政進出を巡る爆弾発言で、永田町に揺さぶりをかけている。
橋下氏は6月10日、
「もともと、(大阪)都構想をめがけて『国政進出する』と言ってきた。あくまでも法案成立が第1の目標です。(法案が通れば)基本的に国政進出をやる大義、必要性がなくなるだけです」
と述べた。これを「橋下氏が国政進出を断念した発言では?」と受け取った永田町では衝撃が走った。
解釈はさまざまだが、消費増税の合意に手間取り、大阪都構想には無関心だった与野党を牽制した橋下発言の効果はてきめんだった。
民主党は橋下発言2日後の12日、都構想関連の法案を会期末21日の今国会に"駆け込み提出"し、「今国会で成立させる」(前原誠司政調会長)と意気込みを示した。自民と公明両党の案、みんなの党などの案はそれぞれがすでに国会に提出されており、ついに各党の案が出そろった。
民主、自民は、依然人気がある橋下氏の国政進出は避けたい。大阪都構想の法案が通れば、橋下氏はしばらく大阪の実務が忙しくなって、国政に出てくる余裕がなくなる。法案を通さなければ、「国政が悪いから大阪都構想が進まない」と言って、国政進出の"大義"を渡すことになる。であれば、永田町の見解は一致する。大阪都法案を成立させよう――というわけだ。
維新の会に所属する議員がこう分析する。
「橋下さんは、『大阪都構想の法案さえ通るなら、それを実績に、次の次の選挙狙いにしてもいい』と切り替え、腐っても与党の民主党と取引したんやと思う。橋下さんは東京に出張するたびに前原さんへ連絡をして、こっそり会っていると聞いたことがある。そのときに、大飯原発再稼働問題の落とし所も民主党と探ったんやろう。再稼働問題に反対し続けると、停電で死者が出ると経産省などから脅され、橋下さんは対応に苦慮していた。前原さんの背後には仙谷(由人・政調会長代行)さんがおり、絵を描いたのは彼やないか」
※週刊朝日 2012年6月29日号