というのも、彼女は家も裕福で、勉強もスポーツもでき、根っからの人気者タイプ。中学での成績はクラス一番で、陸上では走り高跳びと100メートルハードルで県2位になっている。小学校の卒業文集に書いた「トップ女優になる」という夢もそのうち実現しそうな勢いで、本人いわく「願いというものがことごとく叶ってしまう」ような状態だった。
そんななか、早稲田に入るという夢も果たしたわけだが、そこでの逆風は想定しないものだったようで、こう振り返っている。
「大学入学後、想像以上に周りの反響が大きく、色々な声も聞こえてきた。イメージとのギャップをどう埋めていこうかと悩んで初めて壁に当たりました」
そして、このあたりから彼女の迷走期が始まる。特に01年には、さまざまな奇行が取り沙汰されることに。映画の製作発表会見での号泣に、CM撮影のドタキャン、ドラマ「できちゃった結婚」ロケ中の携帯電話依存、さらには「150キロ4万円のタクシー無賃乗車」(フライデー)なども報じられ「プッツン女優」とまで呼ばれた。
ちなみに、彼女は17年に、仕事がいやになった時期のことを告白。そこで「太れば誰も傷つけることなく干されるのでは」と、15キロの激太りを敢行したらしい。これもこの時期の奇行のひとつといえる。
そして、大学に行きたかった理由も「仕事以外の場所を持ちたかったから」だという。ある意味、仕事から解放されたかったのだろう。
■国語国文学科入学の文章力
では、彼女の「学力」は実際どうだったのか。じつは彼女が合格してから入学するまでのあいだに書かれた文章がある。99年2月に文庫化された林真理子の小説『東京デザート物語』の解説だ。林によれば「解説はなんとあの広末涼子ちゃん。早大国文科にふさわしい文章力である」とのこと。だが、読者たちには読書感想文レベルだと揶揄されたりもした。
たしかに「朱子のことを心配しながら、結末まで一気に読んでしまいました」から始まり「林真理子さんの小説を、もっと読んでみたいと思いました」と締めくくられる文章は、読書感想文風である。また、こんな一節もある。
「私も、手紙を書くと、めちゃくちゃとか、とってもとか、すごくとかいう言葉をたくさん使ってしまうので、バカっぽいからどこを削ろうかといつも考えてしまいます。だから、朱子が槙原さんに手紙を書くとき、おいしかったとか、うれしかったとかだけでは何か寂しいので『とても』をいっぱい使ってしまう気持ちは、よくわかりました」