デビューから47年、第一線を走り続けてきた石川さゆりさん。大物歌手でありながら、演歌という枠を超え、さまざまな音楽や若手アーティストとコラボするなど、フットワーク軽く活躍の幅を広げています。放送中の大河ドラマでは、明智光秀の母という重要な役どころを熱演。作家・林真理子さんとの対談では、名曲「天城越え」の秘話も──。
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石川:この前つくった「粋~Iki~」というアルバムもそうなんですが、小唄、端唄、俗曲、いろいろ歌ってみました。それは日本の音楽をちゃんとまとめておきたいという気持ちからだし、日本の童謡を集めた「童」というのを30年ほど前につくって、去年「民」というアルバムをつくって、そして今度「粋」をつくって、そうやって時間はかかっても重ねていくことが好きなんです。
林:トップの座にい続けるだけでも大変なのに、そこからさらに挑戦していくのがすごいなと思いますよ。石川さんのようなビッグネームになると、守りに入る、と言ったらおかしいですけど……。
石川:私は今の空気をちゃんと吸っていたい。
林:それがまた難しくて、私なんか「無理してる」と思われるのもイヤだし、60歳過ぎると、若い人と付き合ってても、「私、無理してるんじゃないかな。ほんとにおもしろがってるのかな」と考えちゃいますよ。
石川:私は自分が知らないことがいっぱいあるので、若い皆さんから刺激をいっぱい受けるんですよ。「これなぁ~に?」って平気で入っていくし、逆に「この時代はこうやってレコーディングしてたのよ」とか、「こんな素敵なお座敷文化っていうのがあってね」とか、お互いにいろいろ刺激し合いながらつくっていくので、おもしろいですよ。
林:音楽という共通言語があるって素晴らしいですね。
石川:林さんも、歴史的な小説を書きながら、今の皆さんの気持ちみたいなものを書いてらっしゃるじゃないですか。私、「白蓮」(『白蓮れんれん』)が大好き。
林:ありがとうございます。うれしいです。
石川:自分が“今”を感じてないとダメじゃないですか。
林:そうなんですけど、私たち作家は個人でやってる仕事で、若い人たちとからんで、そこから化学変化が起きるという仕事じゃないんで、若い人との付き合い方が難しいと思います。歌だと、作詞の方、作曲の方、編曲の方、いろんな才能が混ざり合うことができますけど。