林:先生にとってそんな親しい人って、たぶんいなかったと思う。先生はご家族との縁が薄くて、ずっと一人でいらしたということを知ってる程度で、私、先生のプライベートを存じ上げないけど、娘と孫と一緒にいるような気分だったのかもしれないですね。
石川:私は文章を書く仕事ではないので、わからないことは正直に「先生、何言ってるかわかんな~い。ボケたんじゃない?」なんて言ったりして、それが逆に新鮮でおもしろかったんじゃないですかね。
林:5月に「あい─永遠に在り─」という歌芝居をなさるんですね。5月には、きっとコロナウイルスも終息してますよね。
石川:それを願ってみんなで準備するしかないですね。
林:石川さん、奥さんの役ですか。
石川:はい。夫になる方(内博貴)が私より二十いくつも下なんで、ちゃんと夫婦に見えればいいなと思うんですけど(笑)。
林:でも、このチラシの写真を見る限り、ぜんぜん違和感ないですよ。
石川:もう、林さんったら(笑)。
林:石川さんは、デビューのときエンゼルハットをかぶって歌ってたんですよね。それを覚えてる人、そんなにいないと思う。
石川:あれからもう47年ほどたつんですよ。
林:可愛かったです。熊本から出てきた美少女という感じで。
石川:月日は流れましたね(笑)。
林:でも、年に何回かステージをなさるわけでしょ。前から横から斜めから、「さゆりさん、相変わらずきれいだわ」と思いながらおばちゃんたちが食い入るように見てるわけで、それを裏切るわけにいかないから、いろいろ努力もなさって。
石川:というか、いい年を重ねたいなと思うんですが、役者さんというのはいい年を重ねた役が来るんですよ。だけど、歌い手はその時代に立ってなきゃいけないんですよね。
林:名前を出しちゃ悪いけど、松坂慶子さんってこの世のものとも思えない美女だったじゃないですか。
石川:「愛の水中花」のころね。
林:そう。松坂慶子さんがこのページに出ていただいたときにご自分でおっしゃったんだけど、「あれは前世で、今の私とは違う人です」って。
石川:アハハハ。