日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。「手洗いの大切さ」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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毎年3月22日は、「World Water Day(世界水の日)」です。1992年12月、水と衛生の世界的な危機にどのように取り組むかを議論する日として、国連総会において定められました。この日になると、世界各国で、多くの人に水の大切さを知ってもらうための会議やセミナー、展示会などが開かれるのです。
しかしながら、世界中での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国連はWorld Water Dayに合わせて緊急メッセージを出しました。「新型コロナウイルスの発生により、私達は世界水の日の計画を変える必要がある。手指衛生は、COVID-19および他の多くの感染症の感染拡大を抑えるために不可欠です。世界水の日、そしてその他の日にも、水と石鹸またはアルコールを使用して、定期的に手を洗うことを忘れないで」と。
英国のジョンソン首相も「ウイルスと戦うために私たちができることを忘れてはならない。それは手を洗うことです。ハッピーバースデーを2回歌いながら石鹸とお湯で手を洗ってください。科学的に立証された簡単なアドバイスです。これは私たちにできる最も重要なことなのだ」と訴えました。
ちなみに、手を洗う目安は30秒ほど。ちょうど、ハッピーバースデーの歌を2回歌うのに、30秒ほどかかるというわけなのです。
新型コロナウイルス感染を予防するために必要なことは、こまめに手を洗うこと、そしてよく寝て、よく食べて、運動をして、目や鼻や口を触らず、体調不良の時は休むことです。そこで今回は、手洗いについてお話したいと思います。
さて、世界に感染が広がっている新型コロナウイルス。わずか3カ月の間に、2000本を超える新型コロナウイルスに関する論文が主に中国と米国から発表されています。論文として報告されることで、このウイルスの実態を様々な角度から垣間見ることができるのです。