ウイルスの感染を拡大させないため不要な接触を防ごうと、日本政府は2月27日、全国の小学校、中学校、高校を対象に、臨時休校を要請しました。そうして家の中で待機するように求められた子どもたちに、親たちは勉強をさせようと四苦八苦しているようです。全国の書店で、児童書や参考書が爆発的に売れていると聞きました。

 しかし、塾や学校では勉強をするのに、親の前だと、だらだらしたりふざけたりして、ドリルを前にしてもなかなか手をつけない子どももいます。小さな子どもが自分を律して、1人だけで長時間勉強をするのは、まだ難しいでしょう。

 そこで今、パソコンやスマホなどを使い「遠隔で勉強をする」という動きが活発になってきています。

■塾でも「遠隔」の勉強が適用されている

 たとえば宿題をやるにしても、各々の家にいながらLINE 通話やSkypeを使って友人と話せば解いた問題の映像を送受信して確認し合えるし、分からない問題についても話し合いができて良い刺激になります。 

「遠隔」の勉強は塾にも適用されています。前回のコラムでインタビューさせていただいた塾「TESTEA(テスティー)」では、休校中の小学生のために、誰でも無料で参加できる遠隔授業「『超』算数道場」を開催していました。

 これもやはり、家にいても全然勉強しない、けれども塾にいくのは感染拡大の危険がある、という親の声から生まれた企画だそうです。企業のウェブ会議でよく使われているZoomというソフトも、休校している学校に対して4月30日まで無償で提供されています。パソコンだけでなくスマホでもアプリから参加ができます。 

 デジタル機器があれば、外部とつながって「家から出ることなく指導をうける」ということが可能となってきているわけです。現在、e-Spireほか多数の業者が、さまざまな教材・ツールを無償提供しているので探してみてください。

 コロナ以前から塾では、個別型、集団型に加え、映像を利用した自立型という方法が出てきています。塾に行ったら、自分が勉強したい科目の動画を選び、その中で分からなかった点を、塾の先生に質問するというものです。 

 東進や河合塾のような大手予備校では、自校の人気講師の授業を撮影して残しておき、別の校舎でその動画を流して勉強させるという形をとっています。個人ではなく塾に対してのみ、勉強動画を販売している会社もあります。

 私としては、塾がもっている映像を生徒宅で流して、分からない箇所を音声で指導するのが非常に効率的ではないかなぁ、と思っています。映像ならあえて教室で授業する必要性も感じないので、個人のパソコンに直接動画を流すようにすれば、生徒は予備校まで通う必要がなくなり、交通費と通学時間を浪費せず勉強できるようになるのではないでしょうか。

 Zoomを使い時間を決めて、先生が生徒の顔をみられるような形で勉強すれば、「誰かが見張っている」ことにかわりはないのでサボる心配もありません。

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