日韓のエースがロシア勢の牙城を崩せるか?写真はユ・ヨン(左)と紀平梨花(右) (c)朝日新聞社
日韓のエースがロシア勢の牙城を崩せるか?写真はユ・ヨン(左)と紀平梨花(右) (c)朝日新聞社
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 今季ほど、女子シングルのジャンプが劇的に進化したシーズンはなかっただろう。しかも進化を牽引したのは、今季シニアデビューを果たしたロシアの少女達だった。

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 その最先端にいるのは、4種類(ルッツ・フリップ・サルコウ・トウループ)の4回転をプログラムに組み込み、グランプリファイナル・欧州選手権で銅メダルを獲得したアレクサンドラ・トゥルソワ(ロシア)だろう。4回転の中でも難度が高いルッツ・フリップを跳ぶアンナ・シェルバコワ(ロシア)も、ファイナル・欧州選手権で銀メダルを獲得し、ロシア選手権では優勝している。

 しかし、今季最も強さを発揮してきたのは、4回転を跳ばないアリョーナ・コストルナヤ(ロシア)だった。コストルナヤは、トリプルアクセル、正確無比な技術、音楽を表現する能力という武器を持ち、完璧な滑りをする。ファイナルと欧州選手権を制したコストルナヤは、現時点で最強のスケーターといえるだろう。エテリ・トゥトベリーゼコーチの下で切磋琢磨するトゥルソワ、シェルバコワ、コストルナヤの3人は、今季を通して女子シングルの先頭を走ってきた。

 最強のロシア勢と競える数少ない存在として、今季も成長を遂げてきたのが紀平梨花だ。代名詞のトリプルアクセルは安定感が増しており、ファイナルでは転倒したものの4回転サルコウにも挑んでいる。踊れるスケーターでもあり、総合的にすべての要素で優れる紀平は、コストルナヤ同様今のルールで勝つために必要な能力を持っており、来季も活躍してくれるだろう。

 世界ジュニア選手権で表彰台に乗ったカミラ・ワリエワ(ロシア、金メダル)、ダリア・ウサチェワ(ロシア、銀メダル)、アリサ・リュウ(アメリカ、銅メダル)は、来季はまだ既定の年齢に達さないためシニアには上がってこないこともあり、来季も今季同様ロシアの3人と紀平が世界でトップ争いを繰り広げることが予想される。

 コストルナヤはジュニアの頃から完成された滑りをしていたが、勝ち続けることで風格が漂うようになってきた。曲想を表現することにも長けており、来季のプログラムではどんな顔を見せてくれるのか楽しみだ。ロシア選手権ではコストルナヤを下しているシェルバコワの滑りには味わいが増してきており、来季はさらに円熟味を増すだろう。

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“競争”できる環境が成長のカギ