ロックダウンはあるのか。どのような形でか。そもそも必要なのか。都知事と厚労相、両方を経験した舛添要一氏は言う。

「今やる状況ではないと思っています。そもそも前提となる緊急事態宣言の要件もあいまいな言葉で書かれていますので、慎重であるべきです」

 特措法が定める緊急事態宣言の要件はこうだ。(1)国民の生命および健康に著しく重大な被害を与える恐れが発生(2)全国的かつ急速な蔓延(まんえん)により国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼすなどの事態──。確かに漠然としている。

 舛添氏は、明確な基準がない中で宣言を出すには「三つのデータが必須だ」と主張する。

 一つ目は、感染者数の正確なデータだ。しばしば指摘されるが、PCR検査の数が諸外国に比べると少ない。実態がつかめていないとの懸念は常にある。二つ目は感染者の明確な内訳だ。特に、死者数と、感染源不明者の数をトレースすることが大事だという。

 三つ目は「医療資源」の現状把握。東京では今、医師や看護師、医療機器にどれだけ余裕があるのか、ないのか。そもそも新型ウイルスの感染者のうち、軽症者を病院とは別の施設で診られるようになれば、それだけでロックダウンの必要はなくなると考えているという。

「いずれにせよ、データがしっかりしていないところで、政策決定ができるわけがありません」(舛添氏)

(編集部・大平誠、渡辺豪、小田健司)

AERA 2020年4月13日号より抜粋

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