外出自粛に伴う「巣ごもり」需要を支える宅配業界はどうだろうか。最大手のヤマト運輸は「正直なところ、ほとんど変わりはありません。増えてもないし、減ってもいないというところ」(広報担当)という。
ただ、ロックダウンが現実になった場合については「独自に収集した情報を精査して、今後準備していこうという段階です」(同)と、所管の国土交通省から明確な情報や指示がない中で、対応に苦慮している状況が浮き彫りになった。
鉄道への影響も、現段階では顕著ではない。JR東日本は、ゴールデンウィーク期間中の臨時列車の指定席の販売を見合わせてはいるものの、通常ダイヤに変更はない。非常事態への備えについてはこう述べた。
「行政からの要請があれば、それに基づいてできることを行うだけ。都市封鎖などの状況になっても、医療従事者や生活インフラを支える人たちの移動は少なからず必要ですから、その手段として運行を確保しなければならないと考えています」
OA機器販売大手「リコージャパン」はロックダウンに備え、顧客サポート業務の最優先を医療機関とするガイドラインをまとめた。サポート拠点「サービスステーション」は都内だけで30以上あるが、都市封鎖に伴い通常の4分の1程度に人員が減ることも想定されるという。医療機関ではカルテや領収書、処方箋(せん)など印刷が必要な紙類が多く、感染拡大の中で印刷が滞れば混乱は避けられないためだ。
生活インフラを止めないために各方面で懸命な努力が続くが、すでにコンビニやファストフード店の従業員が新型ウイルスに感染し、店が営業を停止するなどの影響も出始めている。正念場はこれからだ。(編集部・大平誠、渡辺豪、小田健司)
※AERA 2020年4月13日号より抜粋
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