福島第一原発(フクイチ)を本当の意味で収束させるのに、東京電力の解体的な出直しが必要なことは言うまでもない。だが染み付いた体質を改めるには相当なハードルが待ち受けるだろう。週刊朝日は東電内部でひそかに交わされたメールを入手した。そこには、フクイチ2号機で懸念される「最悪の事態」の可能性がつづられていた。

 書いたのは、東電の技術系社員で、東電の同僚社員と原子力機関の要職を務めたこともある原子力専門家に長文のメールを送信していた。

 メールは、2号機の水位についてこう書いている。

〈60センチという水位は、格納容器や圧力抑制室に非常に甚大な損傷が生じていることを端的に示している〉

 あいまいな言葉遣いに終始する東電本社の会見とは裏腹に、断定調だ。また、

〈再臨界で新しい熱源ができていることも、決して無理な想定ではない〉

 などと書かれている。冷却がうまくいっていない。燃料の一部がたまった水の上にあるなど、想定できる条件はいくつもある。メールは、あらゆる可能性に触れた後、こんな衝撃の言葉が並んでいる。

〈格納容器の内部がわからない現状を踏まえると、再臨界が絶対にないと言い切ることはできない〉

 と、再臨界の可能性が否定できないというのだ。あらためて指摘しておくが、このメールを書いているのは、東電の技術系社員だ。しかし現在まで、そうした危険性について東電が警告を発した形跡はない。

※週刊朝日 2012年6月8日号